参院選(10日投開票)静岡選挙区(改選数2)は、全国45選挙区で唯一、現職が無所属議員2人の選挙区。2現職に自民党などの6新人が挑む構図だ。ただ、公示直前の6月に、自民党の衆院静岡5区支部長だった吉川赳衆院議員(40=比例東海ブロック)が18歳の女子学生に飲酒させたなどと週刊誌に報じられて自民党を離党。各陣営は、疑惑報道が選挙戦に与える影響も見定めながら、終盤の追い込みを進めている。

    ◇    ◇    ◇

立候補した8人のうち、無所属現職で国民民主党の推薦を受ける現職山崎真之輔氏(40)、自民新人の若林洋平氏(50)、共産党新人の鈴木千佳氏(51)の3氏は昨年10月の参院補選でも争った顔ぶれだ。補選では約65万票で初当選した山崎氏に約5万票差で競り負けた自民党の若林氏だが、吉川氏の疑惑報道については「影響を感じていない」と淡々と選挙戦を進める。

疑惑が報じられるとすぐに吉川氏の地元事務所関係者が2人の2連ポスターなどを一斉撤去するなど対応は素早かった。若林氏の応援に入った国会議員は「党としては申し訳ない気持ち」としながら「影響は若干はあるかもしれないが、(吉川氏の疑惑報道が)候補者に転嫁されるものではない。国民も分かっている」と冷静だ。自民党入りした細野豪志衆院議員も若林氏をバックアップし、浸透を図る。

現職の山崎氏は補選で獲得した議席を死守したい構えだ。山崎氏は補選後の昨年11月に自身の不倫問題が報道されており、今回の吉川氏の疑惑報道で問題が再注目される形に。街頭では「ここに至るまで、いろいろなことでご迷惑をおかけした。恩返しがしたい。国会でお役に立ちたい」と訴える。陣営は影響を軽くは見ておらず、ある県議は「この地域では細野さんも女性スキャンダル(06年不倫報道)があったが、山崎にも女性問題のすね傷がある。浮動票の受け皿が(非自民無所属現職の)平山(佐知子)氏になっている」と分析。危機感を募らせる。

無所属現職平山佐知子氏(51)は吉川氏の問題について「真摯に取り組むべき立場。真っ当な行動をしてほしい。説明責任は絶対あると思う」と言及。選挙戦では「与党も野党も関係ない」と、6年前から継続してきた座談会などの小規模対話を重視し、有権者の声を吸い上げるスタイルで着実に支持を広げる。

共産党の鈴木氏は街頭演説で「静岡選出の自民党の国会議員はパパ活疑惑後、どこかにいってしまった。衆院議長はセクハラ疑惑。一切、説明責任を果たしていない」と自民党の姿勢を批判した。【鎌田直秀】