国政選挙に初めて挑んでいる諸派の参政党が比例代表で議席を獲得し、国政政党となる公算が大きくなってきた。報道各社は終盤情勢として「議席獲得の可能性がある」「1議席が視野に入る」「1議席獲得の可能性が高まっている」と相次いで報じ、「複数議席を獲得する可能性がある」と予測するメディアも出ている。

勢いを示すように各地で行われている街頭演説会は大盛況となっている。7日午後、さいたま市の大宮駅西口には1000人近い聴衆が集まった。「投票したい政党がないから自分たちでゼロからつくる」と書かれたオレンジ色のTシャツを着た比例代表候補の神谷宗幣(そうへい)事務局長(44)が「マスコミは『自公が大勝する』と書いています。自民党を勝たせるということは、今の政治を信任したことになるんですよ。このままの日本でいいんですか。皆さんの本気を政府に向けましょうよ」と呼び掛けると、「そうだー」の声が上がった。

20年4月に旗揚げした参政党は全45選挙区に各1人、比例代表に5人、計50人を擁立した。比例代表候補の松田学共同代表(64)が日本維新の会で衆院議員を1期務めたことがあるだけで、国政選挙出馬経験者も比例代表候補の赤尾由美共同代表(57=故赤尾敏大日本愛国党総裁のめい)と神谷氏程度。既存政党に不満を持つ保守系の人たちの集まりだ。反ワクチンでは共通し、マスクをつけない人が多いが、特定の支援団体や資金源はないという。

神谷氏は「泡沫(ほうまつ)と書かれても、絶対議席を取るんだという気持ちはありましたけれど、ここまでの勢いになるとは想定以上です。選挙区に45人も立候補させるお金が集まるかな、足りない分はどうするのかと、正直びびっていたんですから」と明かす。クラウドファンディングで4億円集まり、党員・サポーターも8万2000人になった。急成長の理由について「みんなが言って欲しかったことを忖度(そんたく)せずに言っているということじゃないですか。日本の現状に対する不満、不安を、野党は言語化できてなかった。それを私たちはできたんじゃないかと思います」と分析する。

180万票は獲得できる見通しが立ったという。2議席確保まであと20万~30万票。だが、神谷氏は「最低3議席」と、さらに一段高い目標を掲げている。【中嶋文明】

◆諸派 公職選挙法は政党要件を<1>所属国会議員が5人以上<2>直近の衆院選、参院選のいずれかで得票率が2%以上-のどちらかを満たすことと定めている。今回の参院選では自民党、立憲民主党、公明党、日本維新の会、共産党、国民民主党、れいわ新選組、社民党、NHK党が国政政党。国政政党ではない政治団体が諸派で、今回は幸福実現党、ごぼうの党、参政党、日本第一党、新党くにもり、維新政党・新風-の6つが届け出ている。非拘束名簿式を導入した01年以降では、前回19年と並び最多。諸派は前回、れいわ新選組が2議席、NHK党の前身NHKから国民を守る党が1議席を獲得している。