奈良市内で参院選の街頭演説中に安倍晋三元首相(67)が銃撃され、死亡した事件で、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された元海上自衛官の無職山上徹也容疑者(41)が事件前日の7日に手製銃の試し撃ちをしたと供述している奈良市内の宗教団体の関連施設について、奈良県警が11日、現場検証した。

同日午後5時ごろに捜査車両が到着し、現場検証が始まった。午後7時前に終了した。

施設は山上容疑者の自宅から約2キロほど離れ、事件現場となった近鉄「大和西大寺駅」からは1駅。4階建ての雑居ビルの1階のドアの一部に銃で撃たれたとみられる複数の痕があった。大きさは1円玉ほどだった。

近隣住民によると、7日午前4時ごろ、「ボーンという、ものすごい音がした。振動もすごかった」という。施設の近くにある警備会社の防犯カメラには、同午前3時58分、同容疑者のものとみられる黒い軽自動車が写っていた。警備会社の関係者は「静かな場所なので、早朝にここを通る車はあまりない」と話した。防犯カメラの範囲外で施設の前で銃を構える姿などは写っていなかったが、ボーンという音の後に、車が走り去るエンジン音を聞いた住民もいる。

山上容疑者は事件前日の7日に、安倍元首相を狙って、遊説先の岡山県を訪れていた。同県警は、岡山に向かう直前に試し撃ちをして、手製の拳銃の殺傷能力を確認したとみて捜査している。