自民党の岸田文雄首相は第26回参院選の大勝から一夜明けた11日、党本部で記者会見し、憲法改正について「できる限り、早く発議に至る取り組みを進めていく」などと意欲を示した。この日、125議席すべての当選者が確定。自民党は単独で改選過半数の63議席を獲得し、選挙区では全国で32ある1人区で28勝4敗と野党を突き放し、13の改選複数区でも擁立した17人全員を当選させた。「自民1強」を誇示し、政権基盤の強化、国会運営をより安定させた。

野党第1党の立憲民主党は改選23議席から17議席に減らした。公明党は1議席減の13議席。日本維新の会は改選6議席から12議席に倍増させ、比例代表で8議席と、立民の7議席を上回った。国民民主党は5議席、共産党は4議席といずれ2議席減。女性当選者は過去最多の35人となった。

今回、憲法改正に前向きな自公、維新、国民、無所属など改憲勢力は95議席を獲得した。これで非改選の84議席を合わせて179議席に達し、参院でも国会発議に必要な3分の2(166議席)以上を維持した。

岸田氏は「憲法改正は結党以来の党是であり、近年の国政選挙においては必ず、公約に盛り込み、今回も憲法改正の早期実現を公約に掲げ、この選挙を戦った」と強調した。自衛隊の明記、緊急事態対応、参議院の合区解消、教育充実の4項目の改正について「秋に予定される臨時国会では今回の選挙で示された民意を受けて与野党全体で一層活発な議論に期待する」などと改憲論議を加速させる。

この日、凶弾に倒れた故安倍元首相の通夜が東京・港区の増上寺で執り行われた。岸田氏は会見で改憲を悲願とした安倍氏を悼み、「安倍元総理の思いを受け継ぎ、特に情熱を傾けて来られた拉致問題や憲法改正など、ご自身の手で果たすことができなかった難題に取り組んでまいります」と非業の死に見舞われた安倍元首相に誓った。