東京・銀座の百貨店「松屋銀座」は5日から順次、改装を行う。コロナ禍でも需要の高かった化粧品、「ライフスタイル、冷凍食品の各売り場だ。中でも31日にオープンする冷凍食品の常設売り場「GINZA FRZEN GOURMET(ギンザ・フローズン・グルメ)」は、松屋が新設して自社で運営する。計50種のブランド、350種類を扱うなか、主力となる「銀ぶらグルメ」が4日、披露された。

これは、銀座で店舗を構える4店がこのために開発したオリジナルブランド。販売する冷凍食品は、1948年(昭23)創業の洋食店「銀座 日東コーナー1948」のロールキャベツ・トマトソース(1580円)、すき焼き割烹(かっぽう)「銀座 吉澤」の松阪牛シルクハンバーグステーキ(1383円)、フランス料理の老舗「銀座 みかわや」の舌平目かに肉包み揚げ(3456円)、洋菓子店「ピエス・モンテ」のフォレノワール(4000円)。いずれも「本当に冷凍食品?」と思うほどだ。「おもてなしのできる冷凍食品」というキャッチフレーズが、ぴったり合う。

「コロナ禍で足が遠のいてしまっても、変わらぬおいしさを届けたい」と、日東コーナーの竹田大作社長(44)が一昨年暮れに思い付いた。急速冷凍機を購入。最新の冷凍技術を駆使して、家庭でもおいしく食べられるようにと店舗で出しているメニューの中から開発を進めた。同時に、同業者の仲間にも声をかけた。

この動きに対し、昨年7月から「中食」の需要の増大に注目していた松屋側が、今年3月に声をかけた。大々的に販売できる場所が確保された。

竹田社長は、「銀ぶらをしているようなイメージで冷凍食品を食べて、銀座の店の味を思い出してほしい」と言う。銀座という土地に加え、蓄積されたノウハウ、コロナ禍で迫られた業種転換がうまくつながった。今後は、販売ルート、参加する仲間、開発できるメニューがそれぞれ増やしていくことも視野に入れている。