米フロリダ州パームビーチに所有する別荘マー・アー・ラーゴが8日、米連邦捜査局(FBI)の家宅捜索を受けたトランプ前米大統領が、在任中に公文書をホワイトハウスのトイレに流していた疑惑で、新たに証拠写真と思われる画像が公開された。

2月にニューヨーク・タイムズ紙のマギー・ハバーマン記者が今秋に出版予定の著書の中で、トランプ氏が定期的に書類をトイレに流していた可能性を指摘していることが報じられていたが、それを裏付けるかのような文字の書かれた紙きれが入った便器の写真を米ニュースサイトAxiosが入手して公開している。

公開された2枚写真はハバーマン氏がトランプ政権内の関係者から入手したものだといい、2枚のうち1枚はホワイトハウスのトイレで撮影されたもので、もう1枚は外国を訪問した際のものだと説明している。外国のトイレとされる便器の中に浮かぶ小さく破られた紙には、マーカーで書かれた「Stefanik」という文字が確認でき、熱心なトランプ支持者として知られる共和党のイリース・ステファニク下院議員の名前である可能性が指摘されている。

ハバーマン氏は、ホワイトハウスの職員が居住区域にあるトイレが詰まっているのを何度も見つけ、修理業者を度々呼んでいたと指摘し、技術者はパイプの中からぬれて固まった文字が印刷された大量の紙の塊を発見したと著書で記していると言われている。真相は不明ながら、職員たちはトランプ氏が紙をトイレに流していたと信じていたといい、公文書を隠蔽(いんぺい)しようとしていた可能性も取り沙汰されていた。当時トランプ氏は「フェイクニュース」と報道を否定しており、今回の写真についても弁護士は「便器の中の紙の写真が著書のプロモーション計画の一部であるなら、売るのに必死になっているに違いない」とAxiosにコメントしている。

トランプ氏は昨年の大統領退任時に機密文書を含む公文書を無断で持ち出していたとされており、今年に入って国立公文書記録管理局が別荘から段ボール15箱分の文書を回収したことが明らかになっていた。今回のFBIの捜査に関しては正式な発表はなく、容疑についても明らかにされていないが、持ち出した機密文書に関する捜査である可能性が取り沙汰されている。トランプ氏は声明で、「私の美しい家が大勢のFBI捜査官によって包囲され、捜索され、占拠されている。このようなことはアメリカの大統領にかつて起きたことがない」と述べているが、家宅捜索を受けた理由には言及していない。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)