閣僚の辞任ドミノが続く岸田政権は22日、ついに岸田文雄首相にも「政治とカネの疑惑」が浮上した。

昨年10月の衆院選で岸田氏の事務所が広島県選管に提出した「選挙運動費用収支報告書」に添付された領収書94枚に宛名もただし書きもなかったとして公職選挙法違反の疑いがあるとこの日、文春オンラインが報じた。岸田氏は同日夜、官邸で記者団に対して「確認中だ」と述べるにとどめた。

文春オンラインによると、情報公開請求で入手した領収書約270枚のうち、宛名が空白だったものが141枚、ただし書きが空白だったものが98枚で計約106万円分。宛名が空白だったものは計約58万円分、宛名もただし書きも空白だったものは94枚、計約9万5000円分あったとしている。

岸田氏の疑惑浮上に先立って、松本剛明新総務相も仕事始めの22日、自身の資金管理団体が政治資金パーティー会場の収容人数を超えたパーティー券を販売した疑いを共産党の機関紙「しんぶん赤旗」に報じられた。

松本氏の後援会は政治資金収支報告書に2018~20年、兵庫・姫路市内のホテルでパーティーを開催した際に収入額が会場の収容人数を上回るとの疑惑を指摘された。

松本氏は「法の趣旨を理解し、法にのっとり適切に処理している」と反論したが総務相所管の公選法に抵触した疑いだけに、立場は苦しい。任命した岸田氏も参院本会議で「まずは本人から適切に説明すべきものだ」としたが、岸田派最側近の寺田稔前総務相を「政治とカネの問題」で20日、事実上の更迭としたばかりだが、皮肉にも同じ問題で火の手が迫っている。

10月24日に山際大志郎前経済再生相、11月11日には葉梨康弘前法相が辞任し、20日には寺田氏前総務相と、1カ月足らずで3人の閣僚が辞任に追い込まれる異常事態の中、まだまだ浮上する疑惑。自民党のベテラン議員は「(寺田氏の)後釜まで持たないようなら厳しい。政権も…」と危ぶんだ。【大上悟】