超党派の「LGBTに関する課題を考える議員連盟」は15日、国会内で総会を開き、新しい議連会長に自民党の岩屋毅元防衛相を選ぶとともに、当事者や支援団体と意見交換した。前会長の馳浩氏が昨年、石川県知事に就任し、会長は空席になっていた。

2021年5月に議連が主導してまとめながらも、2年近くたなざらしになっている性的少数者への理解増進法案について、岩屋氏は「この間、自治体や企業の取り組みのほうが先行しており、(今は)国や国会がどう取り組むかが問われている」と指摘。この日の総会では「1日も早い法案成立を確認した」と、訴えた。

法案に「差別は許されない」の表現を入れることに自民党内の一部保守派が反対し、法案は自民党の「党三役預かり」となり、国会に提出されない状態が続いてきた。今回、元首相秘書官による性的少数者などへの差別発言を機に、再議論への動きが出る一方で、「差別は許されない」の表現には依然、自民の一部保守派に反対論が根強く、調整の難航が予想されている。

岩屋氏は「最終的には文言調整になっていくと思う」と、現在の表現の調整の可能性を示唆。「焦点はどうしても自民党の中のことになると思うが、(今ある法案の)たたき台は自民党がつくった原案で、9割9分、コンセンサスができあがっていると思っている」「残りの1分について丁寧に合意をつくりあげ、今度こそ国会に提出し、成立させたい」と述べた。

「性的指向や性自認への差別があってはならないというのは、歴代政権が言い続けていること。このスピリットがなくなることはあってはならないと思う。そういう考えで議論が進むよう、努力を進めたい」とも述べた。

当事者などからは、差別禁止法などの法整備を求める声が強いが、岩屋氏は「理解増進法案すらできずに前には進めない。当事者の声を受け止めた上で、分断や対立を招かない立法へ努力をしたい」と述べた。

法案のとりまとめにかかわった自民党の稲田朋美元防衛相は「(前会長の)馳さんは、熱意を持って取り組んでこられた。会議で涙を流しながら『この法律が成立することで当事者の人権を守ることができる』と泣かれたことを、今も覚えている。みんなの思いが詰まった法案だ。ここから再スタートしたい」と、訴えた。【中山知子】