藤井聡太竜王(王位・叡王・王将・棋聖=20)が渡辺明名人(棋王=38)と対戦する、第16回朝日杯将棋オープン戦決勝が23日、東京都千代田区「有楽町朝日ホール」で行われた。対局は藤井が勝ち、2年ぶり4回目の優勝を果たした。

4年前の決勝と同じ顔合わせで、先手の藤井が攻めきった。午前中に行われた準決勝は豊島将之九段(32)に負け寸前まで追い込まれながら大逆転勝ち。先月、名古屋市で行われた本戦1回戦の阿久津主税八段戦、同準々決勝の増田康宏六段戦でも冷や汗ものの逆転勝利だった。「サーカス相撲」から打って変わっての「横綱相撲」。未放映のテレビ棋戦を除いて準決勝の豊島戦まで先手番25連勝という底力を見せつけ、同26連勝で頂点に立った。

タイトル戦での活躍が目立つが、トップ棋士12人が全国に足を運んで公開対局で戦うJT杯、全棋士参加のテレビ棋戦「銀河戦」に次いで、朝日杯と、出場資格のある公式棋戦はこれで3冠。銀河戦と同じテレビ棋戦の「NHK杯」も現在ベスト4だから、総なめの可能性もある。

今月はこの後、25日からの2日制で行われる王将戦7番勝負第5局(島根県大田市)がある。3月に入れば、名人戦への挑戦権を争うA級順位戦最終9回戦の稲葉陽八段戦(2日、静岡市)、渡辺棋王からタイトル奪取と史上最年少6冠まであと1勝と迫った棋王戦5番勝負第3局(5日、新潟市)と重要な対局が続く。

この日、誕生日会見を行った天皇陛下から昨年、王将を獲得して史上最年少5冠を達成したことに触れられた。「若い人々が日々の努力を積み重ねながら、新たな世界を切り拓(ひら)いていく姿が見られることから今後とも楽しくしております」とのお言葉もちょうだいした。

朝日杯Vから気持ちを切り替え、タイトル戦線へと向かう。