軍事アナリストで静岡県立大学特任教授の小川和久氏(77)が27日、文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ!」(月~金曜午後1時)にゲスト出演。ロシアによるウクライナ侵攻における今後の出口論について語った。

小川氏は戦争を終結させるには困難が伴うことを指摘。ロシアの侵攻から1年。ウクライナの抵抗が続いているが「(戦争が)長引く理由があります。ロシア側ではウクライナ戦争が始まる前からプーチンが『ロシア軍が使い物にならない』『アメリカ軍とは戦えない』と自覚していたんですよ。ただ『ウクライナ軍ぐらいはやれるだろう』と思っていた。劣勢になればなるほど核兵器を使う可能性をちらつかせた」とした。

ロシアの誤算を語った上で出口論を探った。「極端な話『プーチンを暗殺すればいい』という人もいるが、とんでもない話。これができるならアメリカやイギリスは情報機関を(すでに)通じてやっている。ただ、そういうときに備えてロシアは核兵器を使うシステムを持っている。ロシアの指導者が殺されたり、どこかの国が(ロシアに)核兵器を撃ち込んできたら、核兵器の部隊に命令が出てしまう」と指摘。「『死者の手』という嫌なシステムだ」と暗殺のリスクを解説した。

その上で考えられる出口論として「ロシアの法律に基づいて反逆罪でプーチンを拘束することによって、ただちに核兵器を持っている部隊にその事実を伝えると『死者の手』は動かないだろう。それはプーチンの周りにいる人間を巻き込まないとできないだろう」と予測した。

「ロシアにはプーチンの後釜を狙っている連中もいっぱいいる。特にFSB(ロシア連邦保安庁)という、プーチンがもともといた情報機関のトップが後釜に座ろうとしているという情報もあるし、そのトップとアメリカのCIAのバーンズ長官が去年サシで2回会っている。こいつら何を話しているんだという話ですよ。プーチンとしてはいくつか病気を持っているとされるが、病気を理由に退陣する場合は、自分が殺されずに済むような後継者を選ぶやり方もある」と側近を頼る可能性についても語った。

ウクライナのゼレンスキー大統領については「戦争が始まる前は支持率28%に落ちたが、大統領が正面に立ったとき、(ウクライナ国民は)やってやろうという気になったと思います」と話した。「コメディアンというのは頭が良くないとできない。あの人はもともと地頭がいいんでしょうね」と語った。