将棋の藤井聡太王将(竜王・王位・叡王・棋王・棋聖=20)が24日、栃木県大田原市「大田原市ピアートホール」で行われた「祝勝会」に参加した。同市は第72期ALSOK杯王将戦7番勝負第7局(25、26日)の開催が予定されていた。挑戦者の羽生善治九段(52)に4勝2敗で、最終局を待たずに初防衛を果たしたため、趣向が変わった。第7局の立会人となるはずだった青野照市九段(70)とのトークショーでは、今シリーズを振り返りながら、おちゃめな一面も披露した。

藤井がおしゃべりで会場の爆笑を誘った。第6局(3月11、12日、佐賀県上峰町)で勝って初防衛をつかみ取り、一夜明けの撮影で「うなぎのつかみ取り」に触れた時だった。「王将戦の伝統ある撮影で、ついに来たかと思いました。いざやってみると全然つかめず、いつになったら終わるんだろうと思いながらやっていました」。苦笑しながら話すと、詰めかけたファンや関係者約400人が大笑いした。

ほかにも、「第1局で羽生九段の戦法をある程度考えていましたが、(後手一手損角換わりは)まったく当たりませんでした。後半は予想を立てませんでした」と、本音をもらした。

もし、3勝3敗で第7局を迎えたら、周囲の盛り上がりをよそに、両対局者はピリピリだったはず。前夜祭の決意表明も、「いい将棋を指したい」と言う程度だったろう。

今月19日には同じ栃木県日光市で行われた第48期棋王戦5番勝負第4局で勝ち、初の棋王獲得と、史上最年少6冠を達成した。これも合わせ、今回ファンから大きな拍手を送られた。

昨年の王将戦第3局を制した大田原市への凱旋(がいせん)は、本年度最後の公務。対局と同じくらい重要なファンサービス、普及活動という大仕事をこなした。25日は対局場になる予定だった同市内のホテルで指導対局、トークショーを行う。