音楽家の坂本龍一さんが亡くなる前、計画の見直しを求めたことであらためて注目が集まっている東京・神宮外苑再開発計画が4日、衆院環境委員会で取り上げられた。

計画の見直しを求める超党派の国会議員でつくる「神宮外苑の自然と歴史・文化を守る国会議員連盟」のメンバーで、立憲民主党の篠原孝衆院議員が質問に立ち、質疑の中で坂本さんの訃報に言及。「最後の力を振り絞って、神宮外苑の森を守ってほしいという手紙を(小池百合子都知事らにあてて)書いた。感性が豊かな人は気がつくんですよ」と、指摘。また、米国人経営コンサルタントのロッシェル・カップさんや、楽天イーグルス初代GMのマーティ・キーナート氏、「菊とバット」の著者で米ジャーナリストのロバート・ホワイティング氏ら著名な外国人が現在の計画に反対していることに触れ、「日本人にも気づいてもらわないといけない」と、主張した。

篠原氏は、秩父宮ラグビー場と神宮球場が場所を入れ替えて建て替えられることなどに伴い、今後、一帯で大量の樹木が伐採されるとして「ラグビー場と神宮球場を改築してそこで建て直せば、こんなに木を切る必要はない。工事が始まっている場所では白い壁で覆われ、何の木を切っているか隠している。『なんじゃもんじゃの木』と呼ばれる天然記念物の木もあるそうだ。大木は避けて建て直すのが、世界の常識だ」と指摘。「神宮外苑をこんな野放図にしていいのか」「緑の保全を誘導するような規制の仕組みに変えて欲しい」として、国の積極的な関与を訴えた。

国交省の古川康政務官は「それぞれの地域で、自治体の権限と責任で決定していく。住民の話を聞きながら最終的に責任をもって判断していくことが求められることだと思う」などと応じた。また、緑の保全を働きかけるよう求められた西村明宏環境相は「神宮外苑自体はスポーツに親しむ拠点、自然とのふれあいの場、100年の歴史があるすばらしい場所だ」とした上で「環境に最大限配慮した事業の実施を期待している。国交省や文科省などと連携しながら取り組みを進めて参りたい」と述べた。【中山知子】