日本維新の会の東京の組織、東京維新の会は13日、国会内で会見し、16日に告示される東京・北区長選(23日投開票)で、自民党都議の山田加奈子氏(51=無所属)を推薦すると発表した。山田氏はすでに自民党の推薦が決まっている。大阪では激しく対立する維新と自民が、東京ではタッグを組む、異例のコラボレーション、共闘だ。

北区と同じ16日に告示される世田谷区長選でも、自民が擁立した新人を東京維新が推薦する連携体制が決まっており、今回の統一地方選での維新&自民のタッグは2例目となる。

東京選出の参院議員で維新の音喜多駿政調会長は、現職の花川与惣太(よそうた)区長(87)が6選を目指して出馬を予定していることを踏まえて「勝てる候補を立てなければならず独自候補も検討したが、確実に世代交代ができる候補でなければならない」とした上で、「山田さんとお話を続ける中で政策協定を結び、維新の政策もしっかり取り入れていただけることになった。現職は巨大な立ちはだかる壁で、強い。党派の壁を乗り越えて、北区を変えていくため1つになり後押ししたい」と訴えた。

先日の奈良県知事選では、保守分裂選挙に陥った自民党を維新候補が破り、大阪の府知事&市長選は維新が圧勝、府市議選も勢力を大きく伸ばした。音喜多氏は「首長選挙は国政とは必ずしもリンクはしていない。現職が6期目を目指さないなら、また違った選択肢もあったと思う」と打ち明けた。一方で「(花川氏の)多選の弊害や、強大な権力を持った人が長く続けることで新陳代謝が起きなくなるということに、一石を投じる必要はあると思う」と、述べた。

維新と山田氏との間で結んだ政策協定は、「退職金の全額カット」などの身を切る改革、民間の積極活用、情報公開の徹底の3項目。北区議を4期務め、現在都議2期目の山田氏は「北区は今変わるべきだという強い思いがある。みなさまの支援をいただきながら、北区をもっと前に進めたい」と、語った。

東京12区選出の阿部司衆院議員によると、3月から自民党との水面下での協議を開始。「北区をどう変えていくかというかなり熱いアプローチがあり、意見交換を重ねて決断に至った」と、説明した。

北区長選には、北区議の駒崎美紀氏(44)、飲食店経営の橋本弥寿子氏(70)も出馬表明している。昨年12月に出馬表明したアイドルグループ「光GENJI」元メンバーで俳優の大沢樹生(53)は出馬を取りやめ、花川氏と連携すると発表した。【中山知子】