与野党6人の公認と無所属の計7人が立候補した激戦の衆院千葉5区補欠選挙(23日投開票)は最終盤を迎えた21日、3人の首相経験者が駆けつけた。岸田文雄首相が15日に和歌山の選挙応援演説会場で爆発物を投げ込まれた事件を受け、いずれの応援演説も多数の警察官が配備され、ハンディータイプの金属探知機などを手に厳戒態勢の中、残り2日となった戦いはヒートアップした。

自民党公認の新人英利アルフィヤ氏(公明推薦)の応援には、2人の元総理が駆けつけ、警備強化のため選挙カーの上でマイクを握った。麻生太郎副総裁は「前の候補者が残念ながら、出られないことになった」とした上で、公募選出された元国連職員の女性候補のクリーンさを強調した。乱立バトルの補選は政治資金規正法違反の罪で略式命令を受けた自民党の薗浦健太郎氏(麻生派)の議員辞職に伴うもの。麻生氏にとって最側近だった薗浦氏の後釜であるアルフィヤ氏の必勝演説にも力が入った。

麻生氏からバトンを受けた菅義偉前首相は午後6時すぎから、JR市川駅前で立憲民主党の野田佳彦元首相と応援バトルとなった。菅氏は同駅南口で「なんとしてもなんとしても勝たしてもらいたい」とアルフィヤ氏の支持を訴えた。野田氏は立民公認の元銀行マン矢崎堅太郎氏を「1円たりとも間違っちゃいけないということを骨身に染みて仕事をしてきた」と誠実さをアピールし、補選の原因となった自民党の政治とカネの問題を批判した。

各陣営の情勢調査などによるとアルフィヤ氏と矢崎氏が大接戦で事実上の一騎打ちの情勢。今日22日の選挙戦最終日は岸田首相、立民の泉健太代表がそれぞれ、最後の応援に入るなどデッドヒートとなっている。【大上悟】