自民党は12日、党本部で「性的マイノリティに関する特命委員会」などの合同会議を開き、LGBTなど性的少数者に対する理解増進法案の修正案について党内議論を続け、森屋宏・内閣第1部会長に対応を一任することを決めた。森屋氏は今後、党内手続きに向けた対応に着手する。

当初期待があったG7広島サミット前の法案成立は困難視される中、できるだけ早期の国会提出と今国会中の法案成立を目指す。

一方、野党側には2021年5月に与野党の実務者が超党派でまとめた法案のが、今回の自民党の協議で一部修正されたことへの反発もあり、与野党協議が難航する恐れもある。

超党派の国会議員でつくる「LGBTに関する課題を考える議員連盟」の会長を務める岩屋毅衆院議員は12日の党会合後、取材に「自民党だけが決めればいいというわけではなく、各党との話し合いも始まる。(部会長一任は)まずは第1段階を超えたところだ」とした上で「丁寧に、できるだけ迅速に作業を進めていただきたい。議連としてもしっかり下支えしていきたい」と求めた。

自民党内では連休前を合わせて計4回、この日も含めて時に2時間を超える合同会議での議論を行ったが、法案の推進派、慎重派の意見が交錯し、意見集約は困難を極めた。一部保守派に配慮して、超党派でまとめた法案にあった「差別は許されない」の表現は「不当な差別はあってはならない」に、また「性自認」の文言は「性同一性」に変更されることになった。党内議論がようやく「決着」したことで、今後は各党との協議が焦点となる。【中山知子】