長野県中野市の立てこもり事件で、長野県警は最初の通報から約12時間たった26日午前4時37分、男の身柄を確保した。男は同市の青木正道・市議会議長(57)の息子とみられる。関係者によると、男は銃などをもって議長の自宅に立てこもっていたが、屋外に出てきたところを確保されたという。この住宅の屋外には負傷した高齢の女性が倒れていたが、26日に死亡が確認された。事件の死者は計4人になった。県警がこの女性の身元も調べている。

事件は25日午後4時25分ごろ、中野市江部で女性が男に刃物で刺されたと通報があった。刺された女性は現場近くに住む村上幸枝さん(66)で、死亡した。男は村上さんを刺した後、通報でパトカーで駆けつけた警察官2人に発砲し、立てこもったとみられる。警察官は玉井良樹警部補(46)と池内卓夫巡査部長(61)で死亡した。

関係者によると、男は迷彩柄の服装で、帽子、サングラス、マスクを着けていたという。男は、逃げる女性に追い付くと刃物で刺し、その後現場にパトカーが到着すると、車に近づき運転席に向かって発砲した、との目撃情報もある。

男はその後、立てこもった。午後8時半ごろには、この家から男の母親が逃げ出し、その後も女性1人が脱出して、いずれも保護されていた。確保された男を乗せた車は中野署に入った。県警が調べている。

現場は、長野電鉄信州中野駅から西に約2キロで、住宅や田畑などが広がる。周辺の地域は事件発覚後に避難区域とされ、中学校の体育館に設置された避難所で解決を待つ人々もいた。

【長野県中野市の立てこもり事件の経過】

▼25日午後4時25分ごろ 「男が女性を刺した」との110番。現場に駆け付けた警察官に容疑者が発砲し、付近の住宅に立てこもり。男は青木正道・市議会議長の息子とみられ、立てこもったのは議長の自宅

▼夕方 中野市役所が防災無線で不要不急の外出を控えるよう周知

▼午後6時7分 女性1人の死亡を確認

▼午後6時18分 男性警察官1人の死亡確認

▼午後7時 もう1人の男性警察官の死亡確認

▼午後7時45分 県警が現場周辺を避難区域に指定していると発表

▼午後7時台 現場付近で発砲音

▼午後8時台 現場付近で再び発砲音

▼午後8時35分 現場から逃げ出した女性を保護

▼26日午前0時10分ごろ 現場からさらに女性が逃げ出し、保護

▼午前4時37分 男の身柄を確保

▼午前4時54分 屋外に残されていた女性の死亡を確認。死者は計4人に