藤井聡太叡王(竜王・王位・棋王・王将・棋聖=20)が挑戦者の菅井竜也八段(31)に2勝1敗とした、将棋の第8期叡王戦5番勝負第4局が28日午前9時から岩手県宮古市「浄土ケ浜パークホテル」で始まった。先手後手は事前に決まっており、先手菅井は角道を明けたのに対し、後手藤井はいつものように「初手お茶」で、お茶を一服口に含んだ後に飛車先の歩を突いた。菅井はこの後、飛車を7筋に振って「三間飛車」を4局続けて採用し、序盤戦がスタートした。

同所でのタイトル戦は2013年(平25)5月の名人戦第3局、森内俊之名人対羽生善治3冠(いずれも肩書は当時)戦以来、10年ぶりとなる。初めて宮古を訪れた両対局者は、同館近くにある「浄土ケ浜レストハウス」前で東日本大震災の犠牲者への献花と黙とうを行った。その後、対局会場の検分、前夜祭などをこなした。

藤井にとって被災地での対局は一昨年10月、福島県いわき市で行われた竜王戦7番勝負第3局以来になる。献花の前には昨年7月に復活した遊覧船「うみねこ丸」にも乗船し、クルージングを楽しみながら、うみねこへの餌づけも体験した。

前夜祭では、地元の郷土芸能「黒森神楽」の権現舞に先導されて会場に入った。着席後には両対局者が獅子頭に体をかんでもらう、「身固め」をしてもらった。「無病息災」「五穀豊穣(ほうじょう)」「大漁成就」などを祈るというが、今回は必勝祈願となった。藤井が3連覇を果たして、6冠を堅持するか。菅井が2勝2敗に追いついて最終局に望みをつなぐのか。

持ち時間は各4時間。午前10時と午後3時には、主催の不二家のおやつが提供される。昼食休憩を挟んで28日夜には決着の見込み。