自民党の佐藤ゆかり元衆院議員(61)が18日、大阪・枚方市で会見を開き、今月末をもって政治家を引退すると発表した。

自民党は21年の衆院選で大阪府の小選挙区で日本維新の会の前に全敗。4月の統一地方選でも府・市議会で大きく議席を減らした。立て直しを図るため、党本部が次期衆院選に向けて、落選中の衆院小選挙区支部長がいる中で、新たに「公募」を実施する方針を決定。この日が締め切りとなっていた。

佐藤氏は会見で「公募に応募しません。7月末日をもって自民党大阪11区支部長を辞任させていただくと、茂木幹事長にお伝えしました」。13日に決断し、16日に茂木敏充幹事長に政治家引退の意向を伝えたと明かした。

理由について「地元で血を見るような熾烈(しれつ)な戦い、活動をしてきた。そういう同士の私たちに、頭ごなしに公募で支部長を差し替えかねない本部の動きは、我々の思いとは溝がある」と恨み節をちらり。「この機に潔く、政治家を辞めるのが道筋ではなかろうか。潔さこそ政治の道で最も大事にしたいこと」と語った。派閥の長である二階俊博元幹事長からは「待て」と慰留もあったそうだが、意思は変わらなかった。

一方で、「永田町にいると視野が狭くなる。物事の本質を見失うと、この20年間、感じていた。これが根本的な問題」と話し、「政治家がポピュリズムに支配されている。政治的な立場から解放され、民間の立場からものを言いたい」と強調。衆院選で落選した後は企業の社外取締役やシンクタンクの代表取締役を務めており、「政治家と連携して、公のためになる政策の企画立案を担いたい。公とは積極的に関わっていくので政界離脱。政界引退とは違う」と今後も政界との関わりながら、仕事を続けていくと話した。

また、公募の原因ともなった日本維新の会についても言及。同党が提唱する身を切る改革を「聞こえは良いが、資金力がないと議員になれない極めて危険な政策。政党としての国家感や経済社会の成長図が全く抜け落ちている」とバッサリ切り捨てた。

会見後は「すがすがしいですね。ようやく政治の束縛から解放されて自由に発言できる」と笑顔を見せていた。

佐藤氏は05年の“郵政選挙”で野田聖子元郵政相への刺客候補として岐阜1区から出馬。その後、東京5区へのから替えなどを経て、14年から大阪11区を地盤にしていた。衆参で4回、当選している。