19日午前8時半ごろ、石川県加賀市の観光施設の従業員から「クマが侵入した」と石川県警大聖寺署に電話で連絡があった。大聖寺署の署員、加賀市役所の農林水産課の職員らが現場に駆け付けた。地元猟友会員9人も猟銃を持って待機するなどして、施設内に立てこもっているとみられたクマに対応する態勢を整えた。同日夕、施設内にクマがいないことを確認した。

従業員は全員避難しており、けが人はなかった。

観光施設は加賀市永井町のウサギと触れ合える体験型施設「月うさぎの里」(2階建て)。施設内のレストランの厨房(ちゅうぼう)からクマが侵入したとみられ、クマを目撃したという従業員が大聖寺署に通報した。従業員の話では、2本足で直立した状態で対面したといい、体長はおよそ160センチ前後だったという。

店内に残ったクマを刺激しないように市職員がまず1階部分をドローンで確認し、クマがいないことを確認。午後3時30分からドローンによる2階の探索を行った。同5時45分、2階でもクマは確認できず、配備を解除した。

現場は北陸自動車道の加賀インターチェンジから西におよそ1キロ離れた山間地域。クマ出没の影響で、周辺の道路が一時通行止めになった。

施設の裏側の窓ガラス付近にクマが屋外に出たと思われる痕跡があったという。クマがいつごろ建物から屋外に出たかは確認できていない。クマが侵入した施設と観光客がウサギと触れ合う場所は別棟になっているため、ウサギへの被害はなかった。【寺沢卓】