「ギョーザの街」として知られる北関東の中心都市の栃木県宇都宮市と、隣接する芳賀町を結ぶ、次世代型路面電車「宇都宮芳賀ライトレール線」(愛称「ライトライン」)が26日、開業した。新しい路面電車の路線としては、75年ぶりの開業だ。電気モーターで駆動する環境に優しい車両の「LRT(Light Rail Transit)」を使用する。

出発に先駆けて、宇都宮市内で行われた開業式では佐藤栄一宇都宮市長(61)が、「利便性や快適さを前面に押し出して、地域活性化や観光振興、地方都市のモデルになる町づくりの役割を果たしてほしい」と期待した。

この電車、国内では2006年(平18)、富山市で初めて導入された。車両と停留所の間の段差もないため、スムーズな乗降が可能になる。宇都宮駅東口から市東部の清原工業団地を経て、隣接する芳賀町の芳賀・高根沢工業団地まで14・6キロを48分で結ぶ。

路線が敷かれた宇都宮駅から東側は、慢性的な交通渋滞が長年の課題となっていた。バスなどの公共交通機関も少ないうえ、少子高齢化に伴い、運転免許を返納する高齢者も年々増加している。そんな「交通弱者」の救済や、渋滞緩和の対策として、18年から開発が進められてきた。

当初は今年3月の開業を目指していたが、用地の取得が遅れたり、昨年11月の試運転中には宇都宮駅付近で脱線事故を起こして対策の見直しを迫られたため、ここまで開業が延びていた。

運営は、行政と民間が出資した会社「宇都宮ライトレール」が行う。愛称のライトラインは、雷の多い宇都宮市、芳賀町を表現した「雷都」と、道筋やつながりを表した「ライン」を組み合わせた。座席数は1車両50席、乗車定員は約160人で、運賃は乗車区間により150~400円。平日1日平均約1万6000人の利用を見込んでいる。