新型コロナの位置づけが感染症法上の「5類」に引き下げられて、初のハロウィーンが10月末に迫った。

東京・渋谷は例年、ごった返し、スリや痴漢、けんかなどのトラブルが横行するため、渋谷区が今年初めて、ハロウィーンの渋谷に「来ないで」と呼びかけた。長年、羽目を外しすぎる若者らに「変態仮装行列」などと苦言を呈してきた渋谷センター商店街振興組合の前理事長の小野寿幸相談理事(82)と、新理事長の鈴木達治さん(59)に話を聞いた。

小野さんは渋谷ハロウィーンについて「区の対応は当然。(商店街として)『来るな』と言って8年くらいかな。僕は渋谷をいい街にしたいんだよ。あの連中らに崩されたくない」と嘆くように話した。鈴木さんは「1年に1度の『悪のイベント』がやってくる」と切りだし、「日々、地道に防犯活動や清掃活動をやっていますけど、365日分の1日で汚される」と続けた。地元商店街の悩みは深刻だ。

渋谷区では19年から、ハロウィーンの期間などに路上飲酒を禁止する条例を定めたが、罰金や過料などの罰則規定はない。駅周辺などでは路上飲酒が常態化しており、小野さんは「やっぱり過料を取らないと」と強調。鈴木さんも「罰金があると、ある程度は抑止力になる」と、過料導入の検討の必要性を訴える。

小野さんらは暴徒化する一部の若者らについて「自分たちの街ではルールを守る『若者』なのに、なぜ渋谷だと『ばか者』になるのか」と首をひねる。渋谷のスクランブル交差点では7日、改造車が歩道に突っ込み7人が負傷。渋谷に集まる若者の改造車の暴走も、新たな不安材料だ。

22年の韓国の梨泰院(イテウォン)の雑踏事故では150人以上が死亡した。小野さんは「日本は警察が雑踏警備をパーフェクトにやってくれる」と考えているが、一方で「想像もつかない連中が来て何かを起こすかもしれない」との心配は尽きない。鈴木さんは「仮装して集まり、自分が自分でない状態になる。1人では絶対にやらないようなことを起こしてしまう危機感がある」と警戒を強めている。【沢田直人】