日大アメリカンフットボール部の薬物事件を巡り、大学の対応を検証していた第三者委員会が10月31日、東京都千代田区の日大本部で記者会見を開いた。

綿引万里子委員長は「この法人をどう立て直すべきかはこの法人自身が考えること」とし、林真理子理事長の進退への直接的な言及を避けた。

日大アメフト部を巡っては、8月に3年生部員が麻薬取締法違反罪で起訴。10月16日には2人目の部員が逮捕された。部が昨年10月に実施した独自調査では、卒業生など約20人に大麻使用の疑いが生じていたことが判明している。

一連の不祥事が続く中、林氏は8月2日の囲み取材で「違法な薬物が見つかったとか、そういうことは一切ございません」と発言。しかし、翌3日に2回目の捜索差し押さえがあり、同5日に大麻取締法違反等の容疑で逮捕者が出る事態となった。同8日の会見では「私はギリギリまで学生の潔白を信じたいという気持ちでいっぱいだった。祈るような気持ちで“茶葉”と思われるものが大麻でないようにと、そればかりを考えていたのでそのような発言になった」と説明していた。

第三者委の綿引氏は林氏の態度を「特別に問題と考えていなかったことが記者会見からうかがえる。正しく認識してもらうことが不可欠だった」と糾弾した。

30日に提出した調査報告書では辞任勧告に該当する内容の記載はなかった。報道陣から進退に関する質問を受けると「この人が辞めたからといって済ませられる問題ではない。特に経営陣の責任の問題については、理事長の選考委員会があるので、そこでどういう資質を有する人がいいのかを提言して、誰が理事長にすべきかを話していくしかない」と説いた。

会見に同席した中村直人委員も「日大は大きな改革をしていかないといけない」と言及。理事長の進退は日大に委ねると強調し「第三者委員が言うのは簡単だが、それでは問題が内面化されない。自分たちでどのように問題を改善するかを考えてもらおうと思う。どういうメンバーがふさわしいのかを自分たちで考えてほしい」と内発的な改革を促した。