元NHK解説委員でジャーナリストの岩田明子氏は4日夜、ABEMAの「NewsBAR橋下」に生出演し、岸田文雄首相の政治姿勢に疑問を呈した。政策を決める際の議論や周囲への根回しが見られないとして「サプライズ好きみたいになっている」「『1強』というものをはき違えている」と解説した。

岩田氏は、ANN(テレビ朝日系)の世論調査で首相が打ち出した所得税や住民税の4万円の定額減税について56%が「評価しない」と答えたことについて、「減税と聞いたら国民は喜ぶだろうと思っているところが見透かされたのだと思う。そんなことよりも今、国がどうなっていて、自分は長期的にこういうことをやりたいのかを教えてくださいよ、減税、減税と言っていないでと。そういう数字だと思う」と指摘。大阪府知事や大阪市長を務めた弁護士の橋下徹氏に「世論の状況をじっと見て、そこに乗っかる政治家の感じがしたが、こことなると頑固なんですかね」と問われると「最初は聞く力からスタートしたが、だんだん聞くというところがなくなっていったような気がする」と指摘。防衛費増額や「異次元の少子化対策」などの肝いり政策を決める際も「財源をどうするかとか、トマホークを買いますよというところも、ディスカッションや説明をするプロセスがあまり見られなかった。総理のトップダウンで指導力を発揮していますというものが、増えてきた感じ」と話した。

「大きな議論が全くなくて、サプライズ好きみたいな感じになっている」とも指摘。その上で「(岸田首相は)1強というものをはき違えている」と指摘。自身が食い込んだ安倍晋三元首相の手法との違いに言及し「安倍さんが1強になったのは、根回しを徹底して党が納得したから『官邸の指示通りで』となっていた。そのプロセスを省いて、総理がいきなりトップダウンで落とすことが1強ではない」とも訴えた。

岸田首相が就任直後、大方の予想を覆す形で衆院解散・総選挙の日程を前倒しして行い勝利したことや、ウクライナ電撃訪問に触れ「これでいいんだと、サプライズ好きになってしまっている。驚くのは1回か2回でいいんですよ」とピシャリ。バーテンダー役のサバンナ高橋茂雄は「困ったもんやな。急に驚かすのにはめられても…」と苦笑いで応じていた。