大阪府知事や大阪市長を務めた弁護士の橋下徹氏が12日、フジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」に出演した。政府が、少子化対策の財源を確保するための「支援金制度」をめぐり、個人の支払い能力に応じた額を医療保険料に上乗せする案を示したことに対し「とんでもない」と怒りをあらわにした。

橋下氏は「税金を上げるということには国民が反対するからといって、社会保険料、特に医療保険料を上げに来た。でもね、医療保険は医療サービスのための保険料ですから」と指摘。「子育て支援にお金を充当しないといけないのは分かるし、国全体でしっかり支えなきゃいけないというのは分かるが、そこが医療保険かよと。上げやすいところ、国民になんとなく反発を受けないようなところに手を出すというのは、保険の仕組みを完全に逸脱している」と厳しく批判した。

この支援金制度案は9日に、加藤鮎子こども政策担当相が「新しい分かち合い」という表現を用いて提案。橋下氏は「新しい分かち合いと言うが、後期高齢者医療制度は現役世代の保険料から多額の支援金が入って成り立っている。すでに(現役世代の)保険料から自分たちのサービス以外の所にお金が充てられている。そうであれば、後期高齢者医療制度に出されている支援金は6・2兆円あるが、ここを少し削る。(政府案では)子育て支援金に1・5兆円を保険料から出すということだが、今、6・2兆円出しているところから1・5兆円を子育て世帯に回すだけで、保険料アップにならないんですよ」と、持論を述べた。「今は自己負担分が少ないので、高齢者に余分に1・5兆円負担してもらうのか、税金を充てるのか。いずれにしても、安易に医療保険を子育て支援に使うのは、僕は絶対に間違っていると思う。野党には(国会での追及を)頑張って欲しい」と訴え、議論の必要性も訴えた。

9日に公表された少子化対策の財源確保に向けた「支援金制度」の案では、医療保険料の活用以外にも、妊娠・出産期から2歳までの子育てを優先して支援することが示された。子育て世帯以外には負担が増えることになり、SNS上でも「子育て世帯以外」がトレンドワードになるなど、国民からも強い批判の声が出ている。