高市早苗首相は22日の衆院予算委員会で、昨年の自民党総裁選などで自身の陣営が他候補を中傷する動画の作成にかかわったなどとする一連の疑惑報道や、暗号資産「サナエトークン」をめぐる野党議員の質問に直接答えず、後日、秘書による「陳述書」を委員会に提出することで答弁に代えさせてほしいと、異例の訴えを行った。
中道改革連合の後藤祐一議員への答弁。後藤氏は「サナエトークン」をめぐり、関与が報じられている男性が、首相の公設第1秘書にグループLINEの作成を促し、秘書や首相後援会チーム関係者が応じたのかと事実関係を問うた。
これに対し、高市首相は「ここ何カ月も外交、安全保障、経済対策、成長戦略に向け歯を食いしばって働き続けて参りましたし、これからもそういたします」と答えた上で「中傷動画やサナエトークン問題について、質問通告をちょうだいいしましたので、まず始めに申し上げますが」と言及。
「私は、30年以上衆院議員を務め、総裁選に3回立候補しましたが、他の候補を中傷したり批判したりせず、ひたすら自分の政策を訴えてきた。これは私の政治家としての矜持(きょうじ)であり誇りでもございます。私の秘書や事務所も私の信条に従って活動してくれている」と、質問とは直接関係ない話を語り始め「ましてや、そうした他人を誹謗(ひぼう)中傷したりする行為を第三者に依頼して行うことはあり得ない」と、従来の主張を繰り返した。
その上で、「サナエトークン」に関して後藤氏から事前に通告された細かい質問内容に関して「(存在を知った)3月2日までその言葉を聞いたこともなく、そのようなものが暗号資産として発行され、取引されることを承認したことはない」として、関与をあらためて否定。「聴いたその日に、事務所にも聴いてXで注意喚起を行った」と訴えたが、後藤氏は自席から「聴いていない」「質問に答えていない」と、指摘を続けた。
すると、高市首相はやや語気を強め「これらの件については、これまで質疑通告を頂く都度、指定された週刊誌の記事の該当部分を深夜に読んで、委員会当日の深夜から早朝にかけて就寝中の奈良の秘書に何度も電話して、秘書が答えた内容を答弁してまいりました。複数の週刊誌報道をもとにした、さまざまな時期のさまざまな事柄についてのご質問をいただき、その都度内容に応じて、誠実に答弁をしてまいった」と主張。「報道を見ても、その一部が切り取られることで全体像が明らかにならず混乱を招くことになる。また、私の総理としての業務時間も確保できなくなってきている」とまで訴えた。
その上で「秘書の陳述書と、いわゆる暗号資産に関する記述などどこにもない、相手企業から送られてきた唯一の提案書を、予算委員会の理事会に提出させてください。それをもって、本件に関する詳細な問いへの答弁とさせていただきたいと考えますが、委員長のご了解をいただきとうございます」と述べ、質疑をしている後藤氏ではなく、坂本哲志委員長に要請を行った。
納得できない後藤氏は、「質問について答えていない。LINEグループについて答えていない。(秘書らが)LINEグループのメンバーになったことは間違いないですか、という問いに何も答えていない。答えてください」とピシャリ。すると高市首相ではなく、坂本委員長が「今、総理の方からさまざまな思いの答弁があった。事細かなことについては、陳述書をもって委員長に預けたいということだった。陳述書で私の方であずかり、理事会で開陳した上で、それをみなさんにご協議いただきたいと思います」と述べた。
後藤氏は「予算委員会の質問を圧殺するんですか! 予算委員長」と激怒。「圧殺はしません」と応じる坂本氏に「圧殺しているじゃないですか。質問は全部、先週金曜の昼のうちに通告している。深夜に総理が見なくてはならなかった状況ではないと思います」と述べ、首相の答弁に納得できない表情で反論した。

