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大阪ビジネスフロンティア高校×ケンミン食品のコラボ!

工場見学 ― 10月9日

まずは「焼ビーフン」を知ろう! 先生が工場潜入

ケンミン食品篠山工場
ケンミン食品篠山工場
「焼ビーフン」の原料選別を行うケンミン食品篠山工場のスタッフ
「焼ビーフン」の原料選別を行うケンミン食品篠山工場のスタッフ
巨大な直火釜で焼きビーフンを一気に炒める
巨大な直火釜で焼きビーフンを一気に炒める

 まずはケンミン食品の「ビーフンについて学ぼう」と、学校を代表して佐々木秀一先生が兵庫・篠山市のケンミン食品・篠山工場を訪問。出迎えてくれたマーケティング部の菊岡千紗子さんの説明を聞いて、さっそく敷地内の工場に潜入、普段見ることのできない製造工程を見学した。

 工場では衛生管理が徹底されているため、白衣に着替え、冷凍食品工場の入口で入念な手洗い殺菌、足下洗浄、エアシャワー室を通過して、ようやく工場内部に進んだ。まず印象に残るのは工場内に漂うおいしそうな香りだ。「昔、給食調理室で経験したような幸せな匂いだ」と佐々木先生。

 「冷凍焼ビーフン」を作る篠山工場では原料の調味液、具材、麺などを合わせて炒め、冷凍までを一気に行う。特に味付けごとに配合を変える調味液は、「カレー味などフレーバーごとに約40種類を数える」と品質保証室の前田俊幸室長。大小タンクを切り替えながら、常時3人で品質管理を行っているそうだ。塩、砂糖などを配合して、約60~70度で溶解し、味を調えていく。約30分かけて1回で約2万食の「冷凍焼ビーフン」のベースが完成する。

 次に生鮮野菜を炒める工程を見学。野菜はその日の朝6時に仕入れた国産のみを使用するというこだわりだ。この日はキャベツ、にんじん、キクラゲ、コーン、赤ピーマン、小松菜などが所狭しと並んでいた。例えば、キャベツなら夏は長野県産といったふうに、生鮮野菜を季節ごとに安定的に原料調達できるシステムができている。ここに牛肉、豚肉なども合わせる。ここでも異物混入がないか、徹底的にチェックが行われた。

 続いて、タイ工場で作った米100%のビーフンを1袋12キロずつボイルする部屋へ進んだ。最後に水で洗い流すことで麺がほぐれやすくなるそうだ。

 ここで野菜とビーフンを回転釜の中に投入し、ガス火で一気に炒める。パイプライン経由で送られて来る調味液と具材の旨みが麺に絡むように、釜を毎分3回転させながら丁寧に炒めていく。回転釜で均等に味付け、最後は人が目でチェックして味のムラをなくす。

 炒められた「焼ビーフン」は、旨さを閉じこめるように一気に真空冷却される。そのままラインを流れ、1食分ずつ量り分けられ、袋詰めされる。約10人のスタッフが検品を行うが、再度異物混入がないか金属探知機とX線でチェックする。この時点でビーフンはまだ生ぬるいが、ここから一気に冷却、上下から凍結する。この後、三たび異物混入がないかチェックを行う。要所で人手を掛けるのが「ケンミン流」と前田室長。「人手がかかってもいいので、安全でおいしいものを提供します」。完成品は1週間程度冷却して、市場へと配送されていく。

◆メモ 「焼ビーフン」のおいしさの秘密

 ビーフンに合うお米として、本場のパサパサなタイ米は1番。毎年最適な品種の選定を行うタイ米を採用している。ビーフンはまずお米を水で洗い、粉状にして、水を除き、つなぎやすくするため蒸して、穴の開いた機械に圧力をかけて押し出し、再び蒸す、乾燥させて切る。日本に輸入後、加工を施す工場のある篠山の美しい空気と水もおいしさの秘密だ。

企画説明会 ― 10月18日

高校で企画説明会

大阪ビジネスフロンティア高校で行われた企画説明会
大阪ビジネスフロンティア高校で行われた企画説明会
レシピコンテスト入賞に向け気合を入れる女子生徒
レシピコンテスト入賞に向け気合を入れる女子生徒

 ケンミン食品マーケティング部の細井敦史部長らスタッフが、大阪市立ビジネスフロンティア高校を訪問。同部の高垣良さんが、放課後の教室で自身の経験を交えながら、「焼ビーフン」など商品の説明と、会社紹介を行った。

 高垣さんは営業5年、タイ勤務5年、マーケティング担当1年半と、ケンミン食品の様々な部署でキャリアを積んだ。特にビーフンを作っているタイ工場に勤務し、約500人の現地スタッフとビーフンを製造しただけに、まずはビーフンの基本情報を紹介した。3年7組の福山奈津美さんは「ビーフンがお米からできること自体知らなかった」と目を丸くした。

 高垣さんによると、米はアジア圏で麺状で食べられる。中国、フィリピン、マレーシア、ミャンマー、インド、タイ、ベトナム、スリランカなどで食べられるが、呼び名も製法も異なる。日本の米は炊いて食べるとおいしい種類なので、米麺は広まらなかった。ジャポニカ米の比率は全体の20%で米粒は丸い。一方80%を占めるインディカ米の粒は細長い。インディカ米は炊いて食べるとパサパサ。加工して麺にする方がおいしい。ビーフンの原料はこのインディカ米だが、タイの中でも2万種類あるという。ビーフンは厳しく選別した良質の硬いインディカ米を使う。

 ビーフンは国内では、まず九州で「焼ビーフン」や「汁ビーフン」として普及したと言い、現在も消費量が多い。現在全国で食べられているビーフンは合計約6000トン、1億食で、ほとんどがケンミン食品製だ。ビーフンの種類は、例えばコンビニ用弁当、冷凍食品用、学校給食用、外食チェーンやスーパー用など用途によって様々作り分けていると言う。その後過去のCM集を5種類上映した。中でも1980年代に放送されていた「お母ちゃん、ケンミンの焼きビーフンにピーマン入れんといてやぁ」とつぶやくだけの劇画タッチのアニメが流れると、生徒から「怖過ぎる」との反応もあったが、映像に釘付けになっていた。

 また、メニュー作りのヒントになるように、「ビーフンと健康」という観点から説明があった。ビーフンは「太りにくい食品」=低GIということが最近の研究で判明して来た。また小麦を使っていないので、小麦アレルギーの人もOKという利点もある。

 最後に生徒からの質疑応答タイムが設けられた。「社員の人ならではのビーフンのおいしい食べ方」について質問が出た。これには「卵やごま油、カラシを入れる」などユニークな味付けが披露された。

◆メモ レシピコンテストは3部門

 ケンミン食品の高垣さんからコンテスト概要が発表された。
(1)「ケンミンビーフン」を使った「がっつり」「ヘルシー」メニュー
(2)「即席焼ビーフン」を使った「がっつり」「ヘルシー」メニュー
(3)「ライスパスタ」を使った「がっつり」「ヘルシー」メニュー
 なお、メニューのおいしさ、ユニークさ、手軽さはもちろん、ネーミングや企画書の美しさも審査対象となる。
 最後に、「ビーフン」「即席焼ビーフン」「ライスパスタ」の3商品が生徒全員に配られた。

選考会、試食会 ― 12月10日

高校生からの応募レシピ416通を選考

提出された企画書の山
提出された企画書の山
真剣な表情で選考会を行うケンミン食品スタッフ
真剣な表情で選考会を行うケンミン食品スタッフ
試食を行うケンミン食品の高村一成社長(左)らスタッフ
試食を行うケンミン食品の高村一成社長(左)らスタッフ

 合計416通の応募レシピ(「焼ビーフン」部門149通、「即席ビーフン」69通、「ライスパスタ」部門190通、その他8通)から、合計10作品を選考、試作を経て受賞レシピ8作の選考を行った。選考会では6人の社員それぞれが1通1通丁寧にチェック。高評価のレシピに持ち点1を加点。得点の高かった上位10作品が公平に選ばれた。

 「ビーフン」部門では、トマトの温サラダ、ビーフン冷麺、ビーフンパイ、揚げ春巻き、あんみそ、イタリアンレタス包み、肉団子入りスープ、オムレツ風、お好み焼き風、ビーフンパンなど幅広いレシピ案がそろった。また「ライスパスタ」部門では、豆乳スープ、海鮮麺などヘルシーメニューが目立った。「即席ビーフン」部門では、あんかけやピザチーズなど、ビーフンに合わせるソースの提案が多かった。

 ケンミン食品本社で実施した試食会では、高村社長が「どれもよく考えられたレシピ」と、ハイレベルな提案にうなっていた。

◆メモ 「ライスパスタ」

 小麦を使わずに、米100%でつくった新タイプのパスタ。玄米入りで米独特のモチモチした食感を保ちながら、なめらかなのど越しの麺に仕上げた。和洋中を問わず幅広い料理に使用可能。太さ1・5ミリ。小麦・添加物不使用で体に優しいパスタ。同社のオンラインショップ(www.kenmin.com/)でも購入できる。

表彰式 ― 12月21日

終業式で表彰式

大阪ビジネスフロンティア高校の体育館に整列する全校生徒
大阪ビジネスフロンティア高校の体育館に整列する全校生徒
舞台上で坪井次長(右)から表彰状を授与される生徒
舞台上で坪井次長(右)から表彰状を授与される生徒

 大阪ビジネスフロンティア高校の体育館で行われた2学期の終業式冒頭で審査結果を発表。緊張の空気が流れる中、8人の受賞者の名前が読み上げられた。初めて受賞を知った8人は驚きの表情で壇上に上がり、ケンミン食品マーケティング部の坪井智生次長が1人1人に表彰状と副賞を贈呈した。最後にレシピコンテスト応募生徒全員に「揚げビーフン」、「汁ビーフン」、「焼ビーフンもっちり平めん」の3種類が参加賞として贈られた。



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