<担当記者のちょっといい話>

G1・2勝目を飾ったタイトルホルダー(牡4、栗田)の生産者・岡田牧雄氏(69)は、栗田博憲元調教師(栗田徹師の義父)を“恩師”と慕っている。

岡田氏が若かりし頃、米国修業時代に、カリフォルニアの競馬場のパドックで出会った。互いに日本人がいるのに気が付き、どこから来たの? となった。後に帰国し、博憲さんは調教師となった。「牧雄さんの馬なら何でもやるからって言ってくれてね。牧場が大変な時も『いいよ、ウチで買うよ』と助けてくれた」と振り返る。

87年共同通信杯4歳S(G3)を勝ったマイネルダビテも、栗田博憲元師の管理馬だった。当時、岡田スタッドは多くの馬が流産し、経営的に苦しい時期だったという。ダビテの重賞制覇は大きかった。

「マイネルダビテで重賞を取ってくれた。本当、あの馬には助けられた。賞金でやっていく自信をつけてくれました。恩師的な部分は大きいです」

栗田元師はタイトルの母メーヴェも管理し、5勝を挙げた。その子は、元師の義理の息子である栗田徹師が仕上げてG1・2勝目を挙げた。

「タイトルホルダーが勝つたびに(栗田元師が)電話をくれるんです。(オーナーの)山田さんと、天皇賞を勝ったら会いにいって、3人でお酒を飲もうって言ってるんですよ」

今ごろ、祝杯を酌み交わしながら、昔話に花が咲いているかもしれない。【中央競馬担当=網孝広】