6番人気のカイル(牡、小久保)が重賞初制覇を果たし、南関東3歳の頂点に立った。羽田盃馬ミヤギザオウがゲート内で転倒して競走除外となるアクシデントの中、2番手追走から直線抜け出した。勝ち時計は2分7秒1(重)。鞍上の本橋孝太騎手(33)は12年以来2回目、小久保智調教師(50)も15年以来2回目の東京ダービー制覇となった。

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2番手追走から迎えた最後の直線、追い比べから残り1ハロンで力強く抜け出してきた。鞍上の叱咤(しった)に応え、最後は後続に2馬身差でゴール。デビュー13戦目、初めてつかんだタイトルは世代最強の証しとなった。

1冠目の羽田盃から一転、逃げたシャルフジンがつくったのはゆったりした流れだった。カイルは固まり気味の馬群の2番手で虎視眈々(たんたん)。鞍上は「返し馬にまたがった感じ、本来なら2列目3列目と思っていたけど、これなら1列目でも競馬をつくれると、ポジションを取りにいきました」と振り返る。「今日は僕というより、馬の調子がすごくよかった。厩舎の仕上げのすごさだと思う」と陣営に感謝した。コンビを組んだのは2走前、京浜盃以来となる2度目。強敵が集った中で首差の2着だった。「あのレースでクラシックが楽しみだなという手応えがありました」。手綱を取れなかった羽田盃(6着)も「左海さん(誠二騎手)がうまく乗ってくれて、今日の競馬につながったと思う」と頂点への道のりを振り返った。

次走予定するのは7月13日大井のジャパンダートダービー(Jpn1、ダート2000メートル)。小久保師は「これよりも1段上げて、ここに連れてこられれば」。第68代東京ダービー馬の歩む未来とは。可能性は大きく広がっている。【渡辺嘉朗】

 

カイル ▽父 トーセンブライト▽母 トーセンヴェール(クロフネ)▽牡3▽馬主 島川隆哉▽調教師 小久保智(浦和)▽生産者 有限会社エスティファーム(北海道日高町)▽戦績 13戦3勝▽総収得賞金 7458万円▽馬名の由来 人名より

 

<クライオジェニック=2着>安藤騎手 テンに行ける脚を抑えて、直線にすべてをかけようと。位置取りは出たなりで。うまく矢野さん(ナッジ)の後ろに入ることができた。この先チャンスはあると思います。

<リコーヴィクター=3着>笹川騎手 馬もすごく良かったし、ブリンカーも効いていたけど、ペースが遅かった。持久力勝負に持ち込みたかったけど、それがかなわなかった。

<フレールフィーユ=4着>和田騎手 スタートもよくていい位置。コーナーで一瞬、脚が鈍ったけど、また盛り返した。もしかしてと思ったけど…。馬の状態はすごく良かった。

<ナッジ=5着>矢野騎手 位置取りなどはイメージ通り。もう少しペースが流れてくれればこの馬の展開になったかな。決め手不足。内容としては今までで一番、納得できた競馬だけど、もっと走れると思う。

<シャルフジン=8着>御神本騎手 あのペースが逆に合わなかったのか、距離なのか…。追って伸びる馬ではないので、自分のペースで行った方がよかったのかな。馬は良かった。これだけ結果が出ないと、2000メートルも長いのかな。