耐えてしのいだ重賞初制覇だ。4番人気ノースブリッジ(牡4、奧村武)が3番手から抜け出した。勝ち時計は1分46秒7。岩田康誠騎手(48)と、掛かり気味の道中を何とか我慢。早め先頭の形を押し切った。

前走が条件戦だった馬の勝利は03年マイネルアムンゼン以来、19年ぶり5頭目。秋の大舞台参戦へ、弾みをつける1勝となった。

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抜かせてたまるか。先頭に立ったノースブリッジが魂に火を付けた。残り200メートル。追い上げてくる他馬の気配を感じて、隠れていたギアが上がる。馬場の真ん中。荒れた内を空けた攻防。岩田康騎手と追い込み勢を引きはがした。岩田康騎手は「まだ奥が深い馬。長い直線で歯を食いしばって頑張ってくれた」とたたえた。1~4着馬までは全て首差。ゴール前で上に跳ぶ癖を見せてふらついても、耐え抜いた。

道中も耐えた。ラジオNIKKEI賞3着以来、2度目の1800メートル。発馬後に位置を取るために、手綱を押した。「何とか我慢してくれた」。鞍上が両腕に力を込め、好位3番手に収める。やや重から良に回復した馬場は、昼すぎの雨で重へ。前残り馬場で最適な位置を取った。

辛抱の先に得た勝利だ。人馬は掛かりながらも脚をためられた。奧村武師は「馬場も良く、しぶとく長く脚を使うことが十分生かせた。人とのやりとりもエキサイトしすぎずできていますね」と成長を認める。前走条件戦に出走した馬がエプソムCを勝ったのは03年マイネルアムンゼン以来、19年ぶり。「重賞でもやれなきゃと思っていたのが、やれてよかった」と師。見込んだ素質が花開いた瞬間だった。

連勝で重賞馬の仲間入りをしても、慎重な姿勢は崩さない。奧村武師は「慌てずにいければ。秋は天皇賞・秋と決めず、馬に合わせていけたらと思う」と話した。今後は未定ながら、岩田康騎手は「これからの馬。もっと上を目指せる」と太鼓判を押した。秋は上がり馬として、さらなる強豪に挑戦状をたたきつける。【松田直樹】

◆ノースブリッジ ▽父 モーリス▽母 アメージングムーン(アドマイヤムーン)▽牡4▽馬主 井山登▽調教師 奥村武(美浦)▽生産者 村田牧場(北海道新冠町)▽戦績 9戦5勝▽総収得賞金 1億423万6000円▽馬名の由来 北+橋。人名より