サマースプリントシリーズ第4戦は単勝万馬券の波乱決着となった。16番人気ボンボヤージ(牝5、梅田)が内を鋭く突き抜けて快勝。単勝1万6430円、3連単49万3580円の高配当を演出した。

オープン昇級後は大敗続きだったが、川須栄彦騎手(30)の好騎乗で復活。梅田智之調教師(53)は17日に死去した伊藤雄二元調教師との縁に感謝した。今後はセントウルS(G2、芝1200メートル、9月11日=中京)などが視野に入る。

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ラスト1ハロンを過ぎた途端、黒い勝負服が鋭くはじけた。2番人気のテイエムスパーダを一瞬にしてかわし、隣にいた4番人気のアネゴハダを置き去りにする。ゴール前では、1番人気のナムラクレアや3番人気のタイセイビジョンが迫ってきたが、すでにセーフティーリード。先頭でゴールへ飛び込んだのは、16番人気のボンボヤージだった。

満面の笑みで検量室に戻ってきた川須騎手を、梅田師がきょとんとした表情で迎える。「びっくりした。本当にびっくりした」。トレーナーですら目を疑う勝利。「こんなことってあるんだなあ。伊藤雄二さんが押してくれたのかな」としみじみと話した。

梅田師が07年に厩舎を開業した時、17日に亡くなった伊藤雄二元調教師のスタッフや管理馬を多く引き継いだ。ボンボヤージの廣崎利洋オーナーとの縁もその時にできたものだ。同オーナーが所有したファンタジストは18年に小倉2歳Sなどを制したが、19年の京阪杯で急死。全妹のボンボヤージが思い出の小倉で重賞を制した。「今日はいろんな物語ができていたね」(梅田師)。多くの縁(えにし)が生んだ勝利だった。

もちろん、川須騎手の好騎乗を忘れるわけにはいかない。「最初から1番枠を生かす乗り方をしようと思っていた。軽ハンデもあったけど、よく頑張ってくれた」と福岡県糸島市出身の鞍上は7年ぶりとなるJRA重賞勝利を喜んだ。ボンボヤージは今後、セントウルSを視野に入れる。サマースプリントチャンピオンの目が出てきた。【岡本光男】

◆ボンボヤージ ▽父 ロードカナロア▽母 ディープインアスク(ディープインパクト)▽牝5▽馬主 廣崎利洋▽調教師 梅田智之(栗東)▽生産者 株式会社ASK STUD(北海道平取町)▽戦績 20戦5勝▽総収得賞金 9687万5000円▽馬名の由来 よき~を(伊)+旅。どうぞよい旅を