何かと話題の多いランフランコ・デットーリ騎手(51)は4日にドイツのG1バーデン大賞で昨年の凱旋門賞馬トルカータータッソに騎乗(2着)して、むちの過剰使用により9月18日から10月1日まで14日間の騎乗停止処分を受けました。G1凱旋門賞(芝2400メートル)に向けて負けられない一戦で、許された回数(5回)を1回オーバーしての罰でした。

騎乗停止最終日の10月1日は凱旋門賞ウイークの初日でしたが、翌2日の凱旋門賞デーには騎乗が可能になり、デットーリ騎手もこの“不幸中の幸い”に胸をなで下ろしたものでした。

その後、デットーリ騎手は日曜(11日)に行われたG1英セントレジャーにデビューから2連勝の素質馬ハスコイで参戦。ここでは直線で急に内に切れ込んで他馬の進路を妨害、不注意騎乗によって5日間の騎乗停止処分を受けました(2位入線のハスコイは4着に降着)。

ドイツでの罰がありましたから、騎乗停止の期間は10月2日から6日になるはずでしたが、競馬界一の強運の持ち主はここで「奇跡」を招き寄せます。2日に英国での競馬開催がないことから、制裁期間が10月3日から7日に変わったのです。

凱旋門賞デーは、他に5つのG1競走が行われます。1年前のR・ピーチュレク騎手から手替わりするトルカータータッソは凱旋門賞連覇がかかり、昨年のような重馬場になればチャンス十分。この他にもG1フォレ賞(芝1400メートル)には1番人気が予想されるキンロスで参戦し、牝馬限定のG1オペラ賞(芝2000メートル)では、これも有力馬のエミリーアップジョンで挑む予定です。

“空白の1日”が、デットーリ騎手のキャリアをさらに厚くするかもしれません。【ターフライター・奥野庸介】(ニッカンスポーツ・コム/極ウマコラム「ワールドホースレーシング」)