毎日王冠(G2、芝1800メートル、9日=東京、1着馬に天皇賞・秋の優先出走権)の最終追い切りが5日、東西トレセンで行われた。「追い斬り激論」はともに完全復活を期す東西の旧2歳王者に注目。東京・井上力心(よしきよ)記者はそのポテンシャルに心底ほれ込むサリオス(牡5、堀)をプッシュ。大阪・岡本光男記者はダノンザキッド(牡4、安田隆)の豪快でパワフルな走りに胸を打たれた。

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井上 スポーツの秋ですね。

岡本 ようやく涼しくなって走ってても気持ちがええね。鍛えがいがあるよ。

井上 相変わらずのマッチョぶり。恐れ入ります。

岡本 君がほれてるサリオスもムッキムキで嫉妬するほどやわ。追い切りはどうやった?

井上 安田記念でも本命にしましたが、正直今回の方がすべてにおいて明らかに良く見えました。以前は太めに映った体がシャープになり引き締まってます。

岡本 美浦ウッドで5ハロン66秒2-11秒5(馬なり)。ルコルセール(古馬3勝クラス)相手に3馬身先行して併入か。

井上 内を回ったとはいえ馬任せでこれだけ時計が出れば大丈夫。反応も抜群でしたし、脚さばきも軽快でした。何より春に比べて覇気があるのがいいですね。体を大きく使えていて体調の良さを感じます。堀師も「折り合い、ギアチェンジともスムーズで、余力でこなせていたし、息の入りも良かった。順調にきて春よりもいい状態に仕上がった」とトーンが高いです。

岡本 東京では安定しているね。

井上 大跳びなタイプですし、コーナーが緩やかなぶん脚がたまってラストもいい瞬発力が発揮できるんだと思います。

岡本 僕の推すダノンザキッドも東京はええよ。同舞台の東スポ杯2歳Sではあのタイトルホルダーに完勝やったからね。安田隆師もそのイメージがあってこの条件は気に入っている。

井上 追い切りは栗東坂路で4ハロン55秒8-12秒5(馬なり)でした。

岡本 とにかく動きがパワフルで力強さがあるね。素晴らしい身体能力を持っている馬やわ。

井上 運動神経抜群の岡本さんが言うと説得力が増しますが、少し軽い気も。

岡本 今週、調整程度なのは予定通り。先週はいっぱいに追って4ハロン50秒4の1番時計やったわけやし、師も「いい状態で行けそうです」とご満悦や。

井上 前走、前々走とも手前を替えず伸び切れなかったのが気になります。

岡本 調教では問題なく替えるらしいけどね。師も「まだその辺に幼さがある」と懐疑的やけど、そんな中でも前走は上位と差のない競馬だったのは能力やろ。まだまだ能力を出し切ってないし奥深い馬。スムーズなら勝ち負け必至やね。

井上 どちらも復活Vが懸かりますね。

岡本 ぜひ2歳王者の意地を見せてほしいね。

◆毎日王冠を2勝した馬 グレード制度を導入した84年以降でのべ16頭が挑んだが、2勝目を挙げたのは88・89年連覇のオグリキャップだけ。2着は19年アエロリット、21年ダノンキングリーなど4頭いる。