2番人気ヴェラアズール(牡5、渡辺)が豪快に差し切り、重賞初挑戦初制覇を果たした。

勝ち時計は2分24秒3。テン乗りの松山弘平騎手(32)に導かれ、芝転向5戦目で初タイトルを獲得。天皇賞・秋(G1、芝2000メートル、30日=東京)の優先出走権を得た。松山騎手は前日9日の毎日王冠(サリオス)に続く2日連続のJRA重賞制覇となった。

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またも切れ味をみせつけた。最後の直線、やや重馬場、2400メートル戦で消耗した各馬が力を振り絞る。ラスト1ハロンを切ったあたりでボッケリーニが先頭へ。外からヒンドゥタイムズも迫るが、さらに外からヴェラアズールが一気にギアを上げると、まとめて前を抜き去った。上がりは最速33秒2をマーク。芝転向後、5戦連続の最速上がり(タイ含む)となった。

初タッグの松山騎手は「調教ですごくいい脚を使えていた。初騎乗でしたが、思っていた以上に脚を使ってくれました。追ってからの反応も良く、しっかり伸びてくれて非常に強いレースだった」とたたえた。折り合いに難しい面のある同馬を、道中なだめて落ち着かせた。終始10番手あたりでじっくり脚をためたのは、末脚への信頼があればこそだ。

デビューは3歳の3月、もともと体質がそれほど強くなかったという。無理をせずに使いながら、ダートでも2勝を挙げたが、徐々に体質が強化され、芝へ舵を切った。以降、5戦3勝3着2回でこの日の重賞初制覇。渡辺師は「いずれは芝でとずっと思っていた。夏もいい休養が出来て、本格化してきた。今日は松山騎手が上手になだめて、うまく乗ってくれました」と穏やかに振り返った。

芝転向後の活躍ぶりで、今後への期待は膨らむ。師は次走については明言しなかったが、「大きいところを狙っていきたいですね」と言った。今秋のG1戦線に、楽しみな1頭が出現した。【網孝広】

 

◆ヴェラアズール▽父 エイシンフラッシュ▽母 ヴェラブランカ(クロフネ)▽牡5▽馬主 (有)キャロットファーム▽調教師 渡辺薫彦(栗東)▽生産者 (有)社台コーポレーション白老ファーム(北海道白老町)▽戦績21戦5勝▽総収得賞金1億4577万4000円▽馬名の由来 青い帆(西)。母名より連想