今年の干支(えと)、ウサギのように飛躍が期待される道内出身者にスポットを当てる企画「翔る! 年男年女」をスタートする。第2回はホッカイドウ競馬の新規調教師、五十嵐冬樹師(47)。

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年男の新調教師が、新たなホースマン人生を踏み出した。5日、門別競馬場で厩舎を開業した。「ここで育ててもらったので、少しでも恩返しできるようにしていきたい。馬への感謝の気持ちを忘れないように向き合っていきたい」と抱負を口にした。

新厩舎には騎手時代の勝負服をモチーフにした赤と白を基調とした手作りの看板を掲げた。「友人や家族の手を借りてこしらえたので愛着がわきますね。慣れない事務的な作業なども大変ですが、いろいろな人に支えていただいて、本当に感謝しています」。

昨年11月11日に発表があった地方競馬の調教師免許試験に合格した。前日10日には、現役ラスト騎乗だった道営記念でサンビュートで1着、約30年間の騎手人生を笑顔で締めた。表彰式での写真撮影には、今春JRA競馬学校騎手課程に入る次女ひなさん(14)が、父と同じ勝負服で参加するサプライズ演出があった。

年末年始は、3日の南関東・川崎の重賞に出走したサンビュートの遠征に同行した。「騎手時代とは違う角度で競馬を見て、知ることができた」。元日には都内の浅草寺へ初詣に出かけ諸願成就を祈願した。調教師1年生にとって、すべてが勉強の場だ。

通算11度のリーディング首位をはじめ、騎手時代の記録は数多い。コスモバルクとのコンビで国内外に挑戦した姿は記憶に残る。「こんなすごい馬に出会うのは難しいと思いますが、少しでも近づけるような馬を手がけていければ」と、気持ちを新たにした。【奥村晶治】

◆五十嵐冬樹(いがらし・ふゆき)1975年(昭50)9月30日、深川市生まれ。93年10月4日、札幌競馬場でデビュー。同20日コウチファスターで初勝利。06年シンガポール航空国際Cをコスモバルクとのコンビで制し、地方所属馬、同騎手として初の海外G1勝利。通算成績1万6407戦2537勝(うち中央1013戦58勝、海外除く)。重賞は中央、海外を含め76勝。リーディングは11度(99、01~09、15年)。