東西で4人の調教師が新規開業する。

新しい風を吹かせる。JRA史上初の平成生まれのトレーナーとなる上原佑紀師(33)は、21年に調教師免許試験に合格後、1年あまり海外研修や栗東の矢作厩舎、中内田厩舎などトップ厩舎のもとでノウハウを学んだ。「世界には若い調教師がたくさんいるので、若すぎる感じはしない。いい意味で常識にとらわれないようどんどん新しいことにチャレンジしたいです」とビジョンを語る。

理想とする調教師は、G1・6勝を含む10連勝の名馬バーイードなどを育てた英国のウィリアム・ハガス師。海外研修で訪れた際、人柄や日々の仕事に取り組む姿勢に心を打たれたという。「馬に対しても人に対してもフェアでホースマン以前に人として紳士的な方。研修中はすごく楽しかった。ああいうリーダーになりたいです」と、人と馬に愛されなおかつ結果も残せる調教師像を思い描く。

父は現役調教師でダイワメジャーなど名馬を手掛けた上原博之師。開業に向け「いろんな方の支えがあって初めて成り立つ仕事。1人でできることは少ないので思いやりを忘れないように」とアドバイスを受けた。初陣は4日中山8R。父の厩舎から継いだテールデトワールを出走させる。「仕上がりはいいです。最初からチャンスのある馬を管理させていただき、しっかり結果を出したいと思っています」と初出走初勝利を目指す。【井上力心】

◆父の上原博之師 小さい頃から乗馬をして、こういう仕事に就けるのは幸せなこと。厳しいことはたくさんあると思うけど、好きな馬の仕事なので頑張ってほしい。じっくり焦らず馬をつくっていきなさいと伝えたいね。これからはライバルにもなるね。馬に関する知識が豊富だし、俺より強みがだいぶある。若いから対応力もあるだろうし、力いっぱい、いい競馬をしてほしい。

■西園翔太師 最年少の32歳「先が長いのが強み」

西園翔太師(32)は、美浦の上原佑師とともに平成生まれ初のJRA調教師となる。90年(平2)3月8日生まれの32歳。現役最年少の調教師だ。「先が長いのが強みですね」と穏やかに話す。厩舎服に入っている鮮やかな赤は、JRA661勝を挙げる父・西園正師の厩舎服から拝借したもの。「父からはスタッフを大事にしろと言われています。(父とは)これからよきライバルとして切磋琢磨(せっさたくま)していきたい」と力強く語った。厩舎のデビュー戦は来週阪神のプロスペリダード(3歳未勝利、ダート1400メートル)になる予定。

■小栗実師「やっと開業、上目指して」

小栗実師(36)は「やっと開業を迎えられた。ようやく、という気持ちです」と晴れやかに話す。岐阜県出身で「岐阜のオグリ」といえばあのオグリキャップが思い浮かぶが、むしろ縁があるのはアーモンドアイの国枝師。「僕が通っていた高校の近くが国枝先生の実家でした」。ちなみに栗東の寺島師も同郷。「常に上を目指していきたい」という目標への第1歩、厩舎の初陣は来週の予定だ。

■緒方努師 アーセナルにあやかりたい

緒方努師(44)は福岡県出身。小倉競馬場乗馬センタースポーツ少年団のOBで、浜中騎手や鮫島駿騎手は後輩になる。「ある年、クラブに後輩の小学生が入ってきた時、最初に話しかけてくれたのが浜中君だったのでよく覚えています」という深い仲だ。厩舎服は赤を基調にしている。サッカー・プレミアリーグのアーセナルをモチーフにした。「アーセナルは好調なのであやかりたい」と語る。厩舎のデビュー戦は来週になる予定だ。