1冠目は、今週も譲らなかった。松山弘平騎手(36)がロブチェン(牡、杉山晴)で逃げ切り、大混戦の1番人気に応えた。

昨年のホープフルSに続きG12勝目。勝ち時計1分56秒5は昨年ミュージアムマイルが出したレースレコードを0秒5、24年紫苑Sのコースレコードも0秒1更新した。鞍上は25年モレイラ騎手以来、史上7人目の桜花賞→皐月賞連勝。牝馬のスターアニスに続き、またも2歳王者を世代の頂点に立たせた。

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またも笑顔の松山騎手が、人さし指を挙げた。ロブチェンの上でスタンドへゴール直後に左手、引き上げ途中に右手。まず1冠。1週前の阪神と同じシーンを、中山で再現した。「無事に1冠目を勝利することができたので“1”とさせてもらいました。自分でも2週連続でびっくりですけども、馬が頑張ってくれたおかげなので、本当に感謝の気持ちでいっぱいです」と謙虚に勝ち誇った。

勝負勘がさえた。発馬は五分。促して頭ひとつ出ると、逃げた。「(ハナを切るのは)全然想定していなかったですが、並びを見て。自在性が武器ですし前残りの馬場なので」と機転を利かせた。リアライズシリウスを外2番手に従える。1000メートル通過は58秒9。「そんなに速いと感じなかったです」。直線入り口でかわされ「やばい」と思ったが、併せて二枚腰。残り200メートルで先頭へ。3/4馬身退けた。「諦めずに何とかしてくれと。もう1度差し返してくれて、強い競馬でした」とたたえた。

勢いが違った。戦前、杉山晴師は絶好調の鞍上へ口を出さなかった。「松山ジョッキーのリズムがすごくいいので、あえて作戦の話はせず全権委任。逃げ? 頭になかったです。うまく乗ってくれました」と舌を巻いた。松山騎手は先週の桜花賞に続き1番人気で勝利となったが、皐月賞の勝利インタビュー前に「何番人気だったんですか?」と報道陣に逆質問。重圧にも自然体を崩さなかった。

両取りの絶好機だ。桜花賞馬スターアニスはオークスへ。右後肢を落鉄しながら皐月賞を勝ったロブチェンはダービー(G1、芝2400メートル、5月31日=東京)へ駒を進める。松山騎手は「距離は大丈夫。今日も緩さがありましたし、もっともっと良くなってくると思います」と伸びしろを強調する。初夏の府中で“2”を掲げる。幸せに満ちた目標を抱けるのは、この男だけだ。【桑原幹久】

◆ロブチェン ▽父 ワールドプレミア▽母 ソングライティング(ジャイアンツコーズウェイ)▽牡3▽馬主 フォレストレーシング▽調教師 杉山晴紀(栗東)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 4戦3勝▽総獲得賞金 3億1321万6000円▽主な勝ち鞍 25年ホープフルS(G1)▽馬名の由来 モンテネグロの山名