無敗の“兄弟対決”だ。スプリングS(G2、芝1800メートル、19日=中山、3着まで皐月賞優先出走権)の最終追い切りが15日、東西トレセンで行われた。注目は横山兄弟が騎乗予定の2戦2勝馬。ホウオウビスケッツ(牡、奥村武)は兄の横山和騎手、ベラジオオペラ(牡、上村)は弟の横山武騎手とのコンビで皐月賞切符を取りにいく。

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動きに成長の跡が見えた。ホウオウビスケッツは美浦ウッドを単走。馬場の真ん中で素軽い脚さばきを見せ、6ハロン83秒5-11秒2(馬なり)と切れた。奥村武師は「デビューした時は切れるタイプに全く見えなかったけど、今回はためても切れる脚が使えそう。1回ごとに成長が大きい」と目を細めた。

工夫がある。6月の遅生まれで心身ともに幼さを残す。師は「この時期の2、3カ月は大きい。配慮が必要」と策を練る。1週前の週中には時計を出さず、週末の日曜にウッドで単走での追い切り。この日も単走でソフトに仕上げた。師は「自分で燃えちゃうので、あえて調教は追い込まないように。先週末やった分今日もかなりぴりっとして、これで十分」とうなずく。

前2走は逃げ切り勝ち。特に東京芝2000メートルの前走フリージア賞は、1分59秒3の好時計で押し切った。師は「この時期の逃げ切りの時計だからあまり意味はない」としつつ「能力がないとできない芸当」と力を認める。「ゲートで(他馬より速く)出ちゃう。形にこだわるより馬と騎手のリズムが最優先」と控える競馬も視野に、先々の大舞台へつながる一戦に臨む。【桑原幹久】

◆横山兄弟の春クラシックトライアル成績 横山武騎手は20年フローラS(ウインマリリン)、21年弥生賞(タイトルホルダー)、22年チューリップ賞(ナミュール)を勝利。今年のチューリップ賞ではペリファーニアで3着に入り、桜花賞への切符を得た。横山和騎手は重賞未勝利も、先週のアネモネSをトーセンローリエで勝利。最後の桜花賞優先出走権をつかんだ。