好走のリズムに乗って、戴冠へGO! 大阪杯(G1、芝2000メートル、4月2日=阪神)の最終追い切りが29日、東西トレセンで行われた。G1注目馬の調教を掘り下げる「追い切りの番人」では、大阪・ことは(下村琴葉)記者が有馬記念3着ジェラルディーナ(牝5、斉藤崇)の陣営に迫った。重賞初制覇となった昨年オールカマー前から続けている“好走調整法”を深掘りした。

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♪たん、たん、へい、GO! 好走のリズムに乗ったジェラルディーナが良血の力を示す。書き出しは、決して某CMに影響されているわけではない。ジェラルディーナの激走を引き出す調整パターンだ。

それは1、2週前追い切りを単走で、最終追い切りは併せ馬(コースはすべてCウッド)をするというもの。この調整方法を始めたオールカマーからG2・1着→G1・1着→G1・3着。本格化したように、好成績を続けている。戦歴と調教メニューを少しさかのぼって見てみると、21年7月マカオJCTから22年阪神牝馬Sまでの6戦は、単走のみで調整していた。

斉藤崇師 折り合い面に繊細なところがあって、あまり併せ馬ができなかった。去年の初めくらいからは折り合いも大丈夫になって、積極的に併せ馬をするようになった。

22年4月の阪神牝馬S6着後に頻繁に併せ馬を消化するようになって成績が上昇。鳴尾記念2着、小倉記念でも3着とG3で続けて馬券圏内に入った。そして、小倉記念の後に今のパターンに至る。

斉藤崇師 だいぶ競馬も使っていたから、やりすぎるのもな、と思って直前まで単走にした。でも、年とともに、単走だと「行け」ってやらないと行かない感じになってきたから、当週は併せ馬にしている。

1頭になるとフワフワするところもあり、併せた馬に後ろからつついてもらって、気を入れている。つまりオーソドックスな併せ馬の「追走」ではなく、「先行」する形の併せ馬だ。

最近の主流調教も、1週前に併せ馬で体を動かし、当週は単走で息を整えるパターンが多いが、ジェラルディーナは2週前から「単走→単走→併せ馬」。このパターンは、大阪杯出走メンバーでは他にいない。まさに、この馬の特性に合った調整法だ。

最終追いのこの日は、もちろん“へい”の日だった。団野騎手(レースは岩田望騎手)を背にCウッド6ハロン84秒1-11秒5。2馬身先行する形から、レヴェッツァ(古馬3勝クラス)と併入した。馬なりでパワフルな動きを見せて態勢を整えた。師も「体調も上がってきた。いい状態で出られるようないい追い切りができた」と高評価。G1・2勝目へ、あとはGO! するだけだ。【下村琴葉】

◆大阪杯の牝馬 過去5年間では9頭が出走し、【2 2 0 5】で2勝(20年ラッキーライラック、21年レイパパレ)を挙げ、連対率は44・4%だ。それに対して牡馬は【3 3 5 48】で連対率10・2%。馬券は牝馬狙いが魅力的だ。