今年も“千直女王”が存在感を示す。デビュー8年目の藤田菜七子騎手(25=根本)がアイビスSD(G3、芝直線1000メートル、30日)に5年連続で参戦。チェアリングソング(牡6、青木)とコンビを組む。自身、1年ぶりとなる重賞騎乗に感謝の念をもって臨む。

夏の新潟開幕を告げる名物重賞に今年も騎乗依頼を受けた。藤田騎手にとっては昨年の当レース以来、丸1年ぶりの重賞参戦。「重賞に乗せていただく機会をいただいて本当にありがたいですし、いい結果を出せるように頑張りたいなと思っています」と力が入る。

“千直”の舞台実績が好相性を裏付ける。デビューした16年以降、113戦11勝2着5回で勝率9・7%、連対率14・2%。同年以降の騎手別勝利数では、10勝の津村騎手を抑えて単独トップに立つ。昨年は13番人気のスティクスで当レース最高の5着と奮闘。今年も5月の1勝クラスで2番枠の11番人気ユイノダンディズムをスタート直後に外へ潜らせ、3着に導いた。

2歳時に自身の手綱で未勝利脱出に導いたチェアリングソングとは、実に3年ぶりのタッグだ。26日の追い切りで久々にまたがり「以前も素直で乗りやすい馬でしたが、古馬になって少し力をつけているなと感じました」と違いをつかんだ。中1週と間隔は詰まるが「体調はすごく良かったと思います」と疲れは感じない。鞍上は31度目の芝重賞、同馬はキャリア32戦目で重賞初制覇がかかる。「いい枠を引ければチャンスはあると思います」。1分足らずの“真夏の快速劇”から、目が離せない。【桑原幹久】

◆藤田菜七子騎手のJRA重賞 16年3月スプリングSのモウカッテル(8番人気9着)が初参戦で、ここまで34戦に騎乗。コパノキッキングとコンビを組んだ19年12月中山のカペラS(G3)で、JRA所属女性騎手初の中央重賞制覇を達成。