重賞戦線で涙をのんできたモリアーナ(武藤)が初の2000メートルを克服し、重賞初勝利を挙げた。勝ち時計は1分58秒0。横山典弘騎手(55)はJRA重賞最年長勝利記録を更新。2着には横山武騎手のヒップホップソウルが入り、先週の札幌2歳Sに続く2週連続の重賞親子ワンツーとなった。3着シランケドまでが秋華賞(G1、芝2000メートル、10月15日=京都)の優先出走権を手に入れた。

大勢が決したかに見えたゴール前、一瞬のうちにモリアーナが馬群を縫って先頭に躍り出た。4角では後方3番手。見守る武藤師も不安がよぎったという位置から、並ぶ間もなく前の馬たちを抜き去った。横山典騎手は「もともと能力はすごくある馬。休み明けのぶん体の使い方はもたもたしていたけど、最後はいい感じではじけてくれた」と瞬発力を大いに評価した。

春の重賞戦線では枠順、展開面の不利などもあり納得する結果が得られなかった。その鬱憤(うっぷん)を十二分に晴らす会心の勝利。武藤師は「強かったね。スッキリした。じっくり構えてハラハラしたけど坂を上がってからが速かった。秘めてるモノはあると思っていたけど想像以上の脚でした」と胸をなで下ろした。12年新潟2歳Sザラストロ以来、自身11年ぶりとなる重賞勝ちに「最高だね」と喜びをかみしめた。

目指すは2冠女王リバティアイランドが待つ秋華賞。鞍上が「まだまだ若いお姉さんだけどいいところがいっぱいある」と今後の可能性を示唆すれば、武藤師も「今の内容なら胸を張って堂々と再戦できる」と昨年の阪神JF以来の対戦に意欲満々。才能が開花しつつあるモリアーナは女王の脅威になる1頭であることは間違いない。【井上力心】

◆JRA重賞最年長勝利 横山典弘騎手は55歳6カ月18日でのJRA重賞勝利。これまでの最年長記録だった柴田善臣騎手の55歳0カ月10日(21年レパードSメイショウムラクモ)を更新した。

◆紫苑Sからの秋華賞優勝馬 16年の重賞格付け以降、紫苑Sで優先出走権を獲得した馬から3頭の秋華賞馬が誕生している。16年2着のヴィブロス、17年1着のディアドラ、22年1着のスタニングローズ。