G1・6連勝でジャパンCを制したイクイノックス(牡4、木村)はレース翌日の27日、美浦トレセンの自馬房で静養に努めた。

4馬身差Vを成し遂げた26日は午後8時過ぎに帰厩。レース直後の興奮が収まるのは天皇賞・秋よりも時間がかかったというが、一夜明けたこの日は普段通りに落ち着いた表情で勝利の余韻に浸っていた。担当の楠助手は「今は穏やかに見えますね。エサも食べていました」と笑顔を見せた。

天皇賞・秋をレコードで連覇後、自身最短間隔の中3週も、終わってみればまるで関係なかった。楠助手は「今回のレースの最大のテーマだったと思います。去年の皐月賞からダービーにかけての(中5週の)調整が難しかったので。それを生かしつつ、何より馬がたくましくなっていました。中3週を気にしないで、イクイノックスだけを見ていれば関係なかったのかな、と。負荷も天皇賞・秋のときと変わらないくらいかけられていました。かなり慎重に調整はしましたが、馬体重もプラスでした。パドックもどっしりしていて、天皇賞・秋より落ち着いていました」と振り返る。

出走時の馬体重は前走比4キロ増の498キロ。過酷なローテに耐え、スタンド前発走で発馬直前にかかる重圧もなんとかこなした。初めての中3週、大きすぎる期待がのしかかる状況で、結果を残した姿に驚くばかりだった。

現在、IFHA(国際競馬統括機関連盟)が発表する「ロンジンワールドベストレースホースランキング」では、ドバイシーマCの逃げ切りによって与えられたレーティング129ポンドをもって世界1位を快走中。今回も全ての馬を迎え撃つ立場だった。2着馬の3冠牝馬リバティアイランド以下を完封したレース後、ルメール騎手は涙を浮かべてイクイノックス陣営の取り組みをたたえた。感情があふれ出た名手へは感謝の言葉が口をつく。

「このまま世界ランキング1位で走り抜けられそうなのは光栄なことです。ジョッキーもそうだし、たくさんの人が今まで以上にプレッシャーを感じてレースに臨んでいると感じていました。ルメール騎手のああいう姿を見ると、すごいプレッシャーだったんだな、と。本当に感謝です。その中であのパフォーマンスを引き出してくれたんですから」(楠助手)

世界最強馬はカメラを向けられると、ぴたりと止まってじっとシャッター音を聞いていた。「(撮影が)わかってるのかな。本当にすごい馬ですね」と同助手。今後はダメージを見た上で、有馬記念参戦なども含めてあらゆる可能性が検討される。