日本馬計13頭が出走する香港国際競走があす10日、シャティン競馬場で行われる。「香港eye2023」の最終回は、東京・井上力心(よしきよ)記者が英国のレーシングポスト社の敏腕記者スコット・バートン氏から情報収集。香港カップのルクセンブルク(牡4)を筆頭に、今年はA・オブライエン厩舎の意欲的な調整が目立つという見解を聞いた。日本勢の前に立ちふさがる壁となりそうだ。下村琴葉(ことは)記者はシャティンの芝の傾向を分析した。

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金曜の調教も終え、いよいよレースが近づいてきた。芝のコンディションは至って良好。芝で調整したレーベンスティールの田中博師も「しっかり整地されていて走りにくいという印象はないです」と好印象だった。

そんな芝コースには入らず、今週は毎日オールウエザー(AW)コースに入って5頭で隊列を組み、実戦形式のタイトな調教を行ってきたのがA・オブライエン厩舎だ。この日は軍団の筆頭格ルクセンブルクが4角で先頭に立って集団を引っ張りラスト2ハロン25秒6をマーク。香港入りして最も速い時計を出した。

今回の滞在中に知り合ったレーシング・ポスト社のフランス人記者スコット・バートン氏に聞いてみると「毎日ピッチが少しずつ速くなっていますね。通常、ヨーロッパの馬はホームでハードな調教を済ましてくる。それだけに今回の香港でのオブライエン厩舎のハードワークにはかなり驚きました」と言う。師は週初めから香港入りし直接指揮を執った。意欲的な調整過程には勝負気配がひしひしと伝わってくる。

厩舎にとって初となる香港カップ制覇を狙うルクセンブルクは、今年のタタソールズゴールドCなどG1・3勝。前走の愛チャンピオンSでは同厩舎のディープインパクト産駒オーギュストロダンと半馬身差の勝負を演じた。今回のメンバーでは、連覇を狙う地元ロマンチックウォリアーと並ぶトップタイのレーティング123。やはりレースは彼ら中心なのか。スコット氏は「私は彼が最高のヨーロッパチャンピオンだと思います。ロマンチックウォリアーも地元のベリーベリーグッドホース」と敬意を表した。日本のプログノーシス、ローシャムパークにも好評価を与えてくれたが、2頭にとって分厚い壁になることは間違いなさそうだ。

現地での攻めた調教は、Aオブライエン師の調整パターンをよく知る欧州の記者のセオリーをも上回るほど。ルクセンブルクが先頭を走る姿は自信に満ちあふれ、名伯楽の本気度が馬にも伝わっている様子だった。香港Cの欧州勢は10年スノーフェアリー(英、E・ダンロップ)以来勝利から遠ざかるが、軽視はできないことを感じた。明日決断する最終予想はより難解になったが、悔いのないよう悩みたい。

■ことはの馬場読み

8日金曜の香港は半袖で過ごせるくらいの暑さだった。週末も雨予報はなく、馬場の悪化は気にしなくてよさそうだ。シャティン競馬場の芝コースを歩いたが、芝がびっしりと生えて荒れがなく、とってもきれい。芝自体は函館、札幌と同じ洋芝で、騎乗経験のある四位師は「湿度が高いし、芝の感じは札幌とかに似ているかな」と話していた。

昨年、カリフォルニアスパングルが制した香港マイルの勝ち時計は1分33秒41。一方、先日のマイルCSは1分32秒5なので、日本と比べると少しだけ時計がかかる感じか。

コース自体について、モレイラ騎手は「基本的に日本の競馬場よりも平らですね。日本の馬場に比べると負担がかかりません」と分析していた。また香港カップの舞台となる芝2000メートルはスタート直後に第1コーナーがある。四位師は「中山の1800メートルのイメージ」と表現。スタートを決めて、早めにポジションを取ることが鍵となる。【下村琴葉】

■ローシャムパーク順調に来た

ローシャムパークは金曜朝に運動とゲート練習を行った。田中博師は「順調にこられている」と様子を伝える。3勝クラスを勝ってから函館記念、オールカマーと重賞2連勝の4歳馬。「ここにきて良くなっているなと思うし、日本国内で強いメンバーと戦った。G1を走らせるにふさわしい馬だと思う」と師も能力を高く評価する。海外初勝利の可能性も十分にありそうだ。