開業7年目の武英智調教師が、18日のフェブラリーSをペプチドナイルで勝利し、G1初制覇を飾りました。これが騎手、調教師を通じて初めてのG1勝利。激戦から2日後の20日、栗東トレセンに姿を見せた武英師は「よかったあ」と安堵(あんど)していました。僕もよく取材でお世話になっている先生ですし、本命(グリ◎)にして馬券も的中することができました。本当にうれしかったです。

この日、武英師は多くの関係者から「おめでとう」と声をかけられていました。普段はライバルであっても、レースが終われば同じ競馬界で働く仲間。勝者を惜しみなくたたえます。毎回、その光景を見るたびに「やっぱり競馬っていいな~」と思います。

ペプチドナイルは単勝11番人気(38倍)と伏兵の評価でしたが、師は自信を持っていました。

「前走の東海Sは折り合いを欠いての6着。力を発揮してのものではないし、今は本当に具合がいい。スムーズに自分のリズムで走れれば、やれていいよ」

穴党の僕にとっては、かなりそそられるコメントでしたし、この話を聞いたからこそ本命を打てました。取材があったからこそできた的中。これほどうれしいものはありません。

ナイルは6歳で本格化を迎え、本当に強くなりました。もともとポテンシャルは高かったですが、以前は体質が弱く、間隔を詰めて使えませんでしたし、精神面でも課題がありました。「どうやったら重賞、そしてG1を勝てるのか」。師はたくさん悩み、試行錯誤されてきました。だからこそ、この勝利は最高だったのだろうと思います。

「これまで、みんなが競馬を教えてきたからこそのG1だし、佑介(藤岡佑騎手)も最高の競馬をしてくれた。ナイルもよく頑張ってくれた。本当に感謝しかない。コンスタントに使ってきたし、放牧を挟んで、次はかしわ記念(5月1日=船橋)あたりかな。今後が楽しみ」

G1トレーナーになった武英師、そしてG1馬となったペプチドナイルの冒険はまだこれから。この先もずっと、追いかけていきたいです。【藤本真育】