【リヤド(サウジアラビア)=木南友輔】騎手招待競走「インターナショナルジョッキーズチャレンジ」の行われたサウジC前日のキングアブドゥルアジーズ競馬場、注目のレースが7RのトゥワイクCでした。舞台はサウジCと同じダート1800メートル。普通なら「出走馬のレベルが低いからサウジCの参考にならない」と思うところですが…。

レーシングプログラムを見ると、出走馬の最初に名前があるのが、グレートスコット(セン8)。英国でデビューし、サウジに移籍。第1回のサウジCで12着、第2回のサウジCで3着に好走した地元の古豪です。

そして、注目は馬番6番の馬。昨年のサウジダービー馬コミッショナーキング(牡4)です。昨年のサウジダービーはアメリカのハヴナメルトダウンと先行2頭のマッチレースのような形になって、競り勝ちました。当時の3着がデルマソトガケでした。コミッショナーキングは今シーズンの始動戦となった9月のレースを勝利。12月のレースで10着に敗れ、このトゥワイクCに出走というローテ。サウジCに出てこないということは現状、サウジのトップホースではないのかもしれませんが、鞍上にはファビアン・プラ(サウジCはナショナルトレジャーに騎乗)を乗せ、勝負気配はビンビンです。

レースが始まり、最初の長い直線でジワッと先頭を奪ったのがコミッショナーキングとプラ騎手。直線を向き、そのまま押し切るかと思われましたが、直線半ばで失速(5着)。外から突き抜けたのが、黄色い勝負服のバダーという馬でした。道中は中団くらいで運んでいて、最後は2着に5馬身差の圧勝。驚いたのはその勝ちタイムです。「1分50秒49」。

これまでのサウジCの勝ちタイムは第1回のマキシマムセキュリティが1分50秒58。第2回のミシュリフが1分49秒59。第3回のエンブレムロードが1分50秒52。昨年のパンサラッサが1分50秒80ですから、“サウジC級の好時計”が出ました。ちなみに昨年、同じくサウジC前日に行われたトゥワイクCの勝ちタイムは1分52秒64でした。

レース後のジョッキーが「前走で勝ったときからさらに良くなっていた。頂点を狙えるポテンシャルがある」、調教師が「来年はサウジカップの馬になると思う」とコメントしているので、バダー(セン5、父キトゥンズジョイ)自体がかなり素質の高い馬なのかもしれません(トゥワイクCの負担重量は58キロ)。

バダーが4着に敗れた2走前。1月13日に行われたキングファイサルCというマイル戦をぶっちぎって勝っているのが、サウジC出走のカーメルロードです。

サウジC前日のキングアブドゥルアジーズ競馬場は、最初のレースが始まる前にダートコースも芝コースもかなりの量の散水があり、芝のレースの写真撮影でダートコースを横切るときには粘土のような、水分を含んだダートという印象を受けました。

今日、サウジC当日も間違いなく、最初のレースの前に散水があると思いますし、前日のトゥワイクCを見ると、速い時計が出やすい馬場になる印象です。サウジCの勝ちタイムはどのくらいの数字になるのか。強い先行馬が押し切るのか、後ろから運んだ馬が突き抜けるのか。白熱のレースが楽しめると思います。