NAR(地方競馬全国協会)復帰を目指す大ベテランの小牧太騎手(56)が、日曜小倉のサマーマイルシリーズ第2戦・中京記念(G3、芝1800メートル、21日)でワールドリバイバル(牡6、牧田)に騎乗する。

きょう19日はNARの騎手免許試験合格発表日で、合格すればJRA所属として騎乗するのは今月末までとなる。兵庫リーディング10回、地方通算3440勝、JRA910勝のレジェンドが、JRA重賞制覇を置き土産とするか。

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顔つきがシャープに見えるのは暑さのためだけではない。「今月1日から一切、お酒を飲んでいない。この僕が、だよ。今はすごく体が軽い」。酒仙で知られる“フトシ”がこれだけ飲酒を控えたのは、落馬負傷で入院中だった18年7月以来。それだけ今夏にかける思いは強い。

園田競馬の第一人者からJRAへ移籍したのが04年。それから21年目となる今年、古巣となるNAR騎手試験に挑んだ。2次試験を今月5日に終え、きょう19日に結果が発表される。「18年の落馬以来、騎乗馬が集まらなくなり、引退しようかと思っていた。でも、まだ体力には自信があったし、騎乗馬さえいればやれる自信はある。それでもう1度、園田でやろうかと思った」と若々しい笑顔を見せる。

きっかけを与えてくれたのは、中京記念で騎乗するワールドリバイバルを管理する牧田師だった。今年3月28日、園田のJRA交流競走で牧田厩舎のヴァリエンテシチーの騎乗依頼を受けた。そのレースは4着だったが、同日園田で地元兵庫所属馬と高知所属馬で計2勝。特に重賞の第1回ネクストスター西日本を制した時は、スタンドから大きな拍手が沸き起こった。そこにいたのは、まさに「園田のレジェンド」だった。

「あの時、もう1度、園田で乗ることを思い付いた」。そして騎手として3度目の挑戦が始まった。

NARの騎手に合格すれば、7月いっぱいでJRA騎手免許を返上。8月から2度目の兵庫所属となる。中京記念がJRAジョッキーとして最後の重賞騎乗となる可能性もある。「中京記念が最後になるかもしれないから、騎手時代から友達だった牧田師にお願いして乗せてもらえることになった。彼には感謝してもしきれないね」。日曜には手綱で恩返しするつもりだ。

同じ56歳で同学年の横山典騎手は今年、ダノンデサイルで日本ダービーを制した。これからフトシの逆襲も始まる。【岡本光男】

◆小牧太(こまき・ふとし)1967年(昭42)9月7日、鹿児島県生まれ。85年に兵庫競馬(園田・姫路)所属騎手としてデビュー。92年を最初に兵庫リーディングは10回。94、96年は地方競馬全国リーディングを獲得した。04年にJRA移籍。地方通算は現在3440勝。JRA通算は1万1736戦910勝。JRA重賞は34勝、うちG1は08年桜花賞(レジネッタ)、09年朝日杯FS(ローズキングダム)の2勝。長男・加矢太は22年からJRA障害騎手。

<担当記者こぼれ話>

10年ほど前の話だが、検量室で騎手たちが他の競馬場のレースを見て声を上げていた。「あっ、小牧さんが来た。小牧さん、いけー」。そう叫ぶある騎手を見て、後輩からも慕われているのだなあと思ったのを覚えている。ただ、実は人違いで、小牧太騎手は声を上げた騎手の後ろに立っていたというオチ。「僕はここにいるで」と笑っていた。

小牧太騎手は「人たらし」と言われるように、接した人たちを引きつける。04年にJRAへ移籍した後、長く日刊スポーツでコラムを連載してもらっていたが、その担当の1人だった記者も彼に対する親しみや連帯感がある。同学年なのでなおさらだ。「同い年なのに、僕の方が岡本君より若く見えるね」と言われたこともあった(笑い)。

園田でデビューした当時、とりわけ彼のことをかわいがっていたのが、日刊スポーツの大先輩、半世紀にわたって園田競馬を担当した池永博省記者だった。その大先輩は21年の1月に亡くなった。「かわいいフトシ」が園田に戻ってくるかもしれないと聞き、天国の池永さんはさぞかし喜んでいることだろう。【岡本光男】

■ワールドリバイバル 「夏場はいい」

ワールドリバイバルは追い切り翌日のこの日、運動で調整された。「特に変わりなくきています。今までの成績を見ても夏場はいいですね。以前はずいぶん(調教で)引っかかっていましたが、今はちょっとおとなしくなって乗りやすくなっています。それがいい方に出れば」と古川厩務員。小倉芝は3戦して4着以下なし。得意の夏、得意コースで番狂わせを狙う。