フォーエバーヤング(牡4、矢作)が昨年3着の雪辱を果たし、米国競馬の頂点、世界最高峰のダートG1を制した。木南記者が勝因を多角的に分析した。
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現地米国の単勝オッズはフィアースネスが4・4倍、フォーエバーヤングが4・5倍、シエラレオーネが4・9倍。終わってみれば、ハイレベルと言われた昨年の上位3頭が今年も上位を独占した。「3歳世代のナンバー2」だった4着ジャーナリズムは3着から2馬身以上離されている。2冠馬ソヴリンティ(熱発)の回避は残念だったが、同馬が不在でも最強馬決定戦にふさわしい戦いだった。
レース史上最速のハイペースだった昨年は最初の800メートル通過が44秒96。今年はシエラレオーネ陣営が用意したペースメーカーが45秒97で、昨年より1秒遅い流れだった。2番手を確保し、ライバルより先に動いた坂井騎手の判断がレース自体の最大の勝因だと思う。ゴール前で大外からシエラレオーネが詰め寄ったが、ゴール後の脚色が一番良かったのはフォーエバーヤング。デビュー当初は後方からの競馬だった馬が門別、川崎、サウジ、チャーチルダウンズ、大井、船橋など、さまざまな競馬場でレースを経験し、どんな位置でも戦える最強馬になった。4年前、BCディスタフを制したマルシュロレーヌも前哨戦は門別のJpn3。固定観念にとらわれない矢作師のレース選択がスーパーホースを作りだした。日本のダートは砂で、本場米国のダートは土。芝中心の欧州、日本とは異なり、米国ではスピード豊かな一流馬がダートのG1を走る。だから「日本のダートで活躍しても米国では勝てない」。長年、言われてきたそんな常識を破壊した。
84年に始まり、「開催地持ち回り」の特色を持つブリーダーズC。東海岸や中部のケンタッキー、南部のフロリダなどに比べ、西海岸のデルマー開催は日本からのアクセスが容易。加えて、この季節のこの地域は晴天続き。5月のケンタッキーダービーや10月の凱旋門賞のように毎年のように降雨と馬場悪化に気をもむ必要がない。来年はケンタッキー州のキーンランド、再来年は東海岸ニューヨークのベルモント競馬場が舞台。馬の状態、条件を考えても陣営の今年にかける思いは強かったはずだ。
他陣営からは「チーム・ジャパン」の空気を作った矢作厩舎へ感謝の言葉が聞かれた。週中には昨年に続き、ドジャースのワールドシリーズを観戦し、世界一への士気を高めた。欧州、中東、南半球など世界各地に遠征した経験の蓄積が勝利につながっている。レースホースコーディネーター&通訳の安藤裕氏(元騎手)の存在も絶大だ。矢作厩舎の遠征、坂井騎手の武者修行をサポートしてきた。
まだ、2カ月残っているが、JRAの競馬場で走ってなくても、年度代表馬は間違いなくフォーエバーヤングになる。エクリプス賞(北米の年度表彰)を受賞する可能性も当然ある。引退&種牡馬入りが決まっているライバル2頭に最後の対戦で勝利。3代父で89年覇者サンデーサイレンスの血の優秀さをその母国米国で証明。日本の生産界に与えた影響も計り知れない。歴史的な1勝をつかんだスーパーホースの今後の動向は世界の注目の的になる。【木南友輔】

