日曜小倉のサマースプリントシリーズ第2戦・北九州記念(G3、芝1200メートル、5日)に、特別な思いを持って臨む人がいる。福永厩舎のランフォーヴァウ(牝4)を担当する蔵之下勉厩務員(64)だ。7月18日に定年退職が決まっており、今回が担当馬のラストレースとなる予定。46年にわたるホースマン人生を重賞で締めくくる。

長年の縁がある。19歳で北橋厩舎からキャリアをスタートし、99年京都牝馬特別では担当馬マルカコマチで自身初の重賞制覇を果たした。思い出の1頭を勝利に導いたのが当時、厩舎に所属していた若手ジョッキーの福永祐一師だった。自身の重賞5勝目とした福永騎手にとっても自厩舎の馬での重賞初勝利。貴重な1勝だった。蔵之下厩務員は「うれしかったね。2世(父が福永洋一元騎手)でいろいろ言われていたけど、結果を出していたからね。最後の最後まで祐一と一緒に働くとは思っていなかった」と運命を感じていた。

15歳離れた2人は現在もひとつ屋根の下でチームを組む。ランフォーヴァウは前走の谷川岳Sで1400メートルへの距離短縮がかみ合い、1年半ぶりの勝利。采配はピタリだった。「祐一は1400メートルがベストやろうと言っていた。今回は1200メートルがどうか」と新たな挑戦となる。頼りになるのは愛馬の成長力。「若い頃に比べて今は食べるようになった。細い牝馬だったのが、幅が出てきたからね。調教も強くできるようになっている」と心強い。

ランフォーヴァウの馬名の意味は「誓いのために走る」。勝利を誓い合い、ともに歩んできた蔵之下厩務員と福永師の思いも背負い、ランフォーヴァウが走る。【原田竣矢】