4月25日、4都府県に再び緊急事態宣言が出た。いつ頃か忘れたが、コロナの感染拡大を避けるために、地元や近隣への短距離観光を推進する“マイクロツーリズム”がマスメディアでとり上げられた。

E-Bikeや自転車は、ある意味マイクロツーリズムに最適な乗り物といえる。神奈川県内だけで楽しめる旅はないか? そこでひらめいたのがE-Bikeで行ける神奈川県の4極地、東西南北の端を訪ねる旅だった。自分が住んでいる県に注目をしたことがなかったので、逆に新鮮に感じる。

この4極の旅を考えたのは今年の2月。調べてみると最西端の三国峠(足柄上郡山北町)は去年の11月に訪問。そのときのリポートはこちら

最南端の城ケ島(三浦市)は「150キロの旅」で12月下旬に訪ねていることがわかった。リポートはこちら


これまでの峠で一番登りがきつかった最西端の三国峠
これまでの峠で一番登りがきつかった最西端の三国峠

150キロの長距離走行挑戦で訪れた最南端の城ケ島
150キロの長距離走行挑戦で訪れた最南端の城ケ島

E-Bikeで行ったことがないのは最東端と最北端。ちなみに最東端は川崎工業地帯の埋め立て地「浮島」の東京湾アクアラインの入り口あたり。最北端は東京都との県境、陣馬山近くの「和田峠付近」であることがわかった。最東端は人工的な場所で最北端は自然の山の中。対極の景色が見られそうだ。

自宅の相模原から浮島まで往復100キロ。ほとんど平坦なので大容量バッテリーのヤマハYPJ-ERなら充電切れの心配もない。2月某日。浮島へ向かった。ルートのほとんどが住宅地、道が多く複雑に入り組んでいるため間違えないよう、慎重に進んで行く。時々グーグルマップでチェック。横浜の中山で鶴見川にぶつかると、少し遠まわりになるが川沿いのサイクルロードに入って行く。今日は日曜日、家族連れ、夫婦、グループいろんな人たちが自転車を楽しんでいる。

森永橋を渡って川崎。川崎駅前を経由して国道409号へ入って行く。ここからは一本道、ひたすら国道を進んで行けば最東端の浮島にたどり着く。国道409号は広い4車線道路。東へ行くほど住宅は減り、生活感のない工業的な施設が多くなる。日曜日のためか車は少ない。

前方の交差点に高速道路「浮島入口」の文字。ここから自動車専用道路と記した標識が立っている。どうやらE-Bikeが走れるのはここまでらしい。ということは、最東端に到着だ! やったー。交差点の一角が浮島町公園の入り口になっていた。入って行くと小高い丘があり、登ってみると、堤防の先に東京湾が広がった。いい眺めだ。北へ目を移すと多摩川河口、その向こうは東京都。改めて最東端に立っていることを実感する。


鶴見川の近くで見つけた菜の花畑
鶴見川の近くで見つけた菜の花畑

歩道に国道409号の標識がニョキリ
歩道に国道409号の標識がニョキリ

川崎の工業地帯の散策も楽しんだ
川崎の工業地帯の散策も楽しんだ

最東端の浮島公園から多摩川河口と羽田空港を望む
最東端の浮島公園から多摩川河口と羽田空港を望む

最後に残ったのが最北端の和田峠は、3月中旬に行けることになった。和田峠はおそらく高校生の時に自転車で行っているはずだが、写真も記録もないので、気分的には初訪問(笑)。峠はあるが往復80キロならバッテリーは楽勝だろう。

相模湖まではこれまで何度も走っているルート。サラッと走って国道20号へ。藤野から県道へ入るとしばらくは住宅地。そのまま10分ほど走ると林や畑が増え、田舎らしい景色になる。緩い上り坂が延々と続く。さらに進んで行くと点在していた民家は姿を消し、木々に囲まれた山道になった。和田峠までひと踏ん張りだ。

道はかなりの急勾配、強力なアシストが得られるHIGHモードで進んで行く。息は少し荒くなるが、停まって息を整えるほどではない。いいペースで登って行ける。自転車のようにいっぱいいっぱいにならず、景色を楽しみながら坂道を登れるのがE-Bikeのいいところ。カーブをいくつか曲がると、広い駐車場が見えた。もしかして、やった、和田峠だ。

小さな建物に和田峠「峠の茶屋」とある。しかし休業中らしくシャッターが降りている。残念ながらご褒美の飲み物も、絶景パノラマ展望のなかったが、気分的にはスカッと爽快。心地よい満足感があった。

東西南北、それぞれが違う顔を見せてくれた神奈川県。近場でも乗り物や季節、一緒にいる人、年齢や経験値など、同じ場所でも違う景色を見ることができる。大切なのは視点。同じ旅は二度とできない、旅はいつだって一期一会なのだ。


和田峠の峠道はこの辺りから本格的になる
和田峠の峠道はこの辺りから本格的になる

和田峠へ続く県道は景色の変化が楽しめる
和田峠へ続く県道は景色の変化が楽しめる

最北端の和田峠で神奈川県の4極制覇となった
最北端の和田峠で神奈川県の4極制覇となった

この旅で出会ったレトロな郵便局
この旅で出会ったレトロな郵便局