難関「剣山スーパー林道」を前にリフレッシュ　30日間日本縦断ペダル旅日記【第10日】

30日間で3700キロをE-Bike（YAMAHA WABASH-RT）で走り切り、佐多岬～宗谷岬の日本縦断を果たした、旅行家藤原かんいち。前例のないE-Bikeによるチャレンジ。運動不足の61歳の中年男にできるのか！？　一体どんな旅だったのか！？　激動の30日間を旅日記で振り返ります。

: 香美市にある『やなせたかし記念館（アンパンマンミュージアム）』

　Day10　2022/05/25

朝、起きて動いてみると、ギックリ腰の痛みは3割程度までに減っていた。尻痛の次はギックリ腰だったので、旅の中止まで脳裏をよぎったが、この痛さなら何とか旅は続けられそう。走行距離も1000kmを越えたし、体のあちこちで予想外のことが起きているけど、不思議なことに体力と気力だけは予想以上に充実している。

さて、次に控えるは前半戦では最大の難関、ステージ07『剣山スーパー林道』だ。四国の中西部、山岳地帯を東西に走る日本最長のダート林道。そこを荷物満載のE-Bikeで走るのはかなり無謀な気もするが、できるだけやってみたいと思っている。

出発前からスーパー林道の情報を集めているのだが、残念ながら西部の約3分の1が通行止めであることがわかった。さらに中部～東部を走るためには100キロ近い迂回が必要になる上に、林道唯一のキャンプ場『ファガスの森』が定休日（充電も不可）と悪循環に陥る。状況を考えた末、今回は東部だけを走ることにした。全線を走れないのは残念だが、スーパー林道は一部だけでも走る価値があると考えて決めた。

須崎のビジネス旅館を出発、国道56号で高知へ向かった。四国南部の主要道だが、目に入る景色は山、川、田畑、民家など、どこかのんびりしている。順調に高知市内まで進めたので、市内の名所『高知城』『はりやま橋』などをめぐり歩く。走るばかりでなく時には、こんな時間も時には必要だと思った。いい感じでリフレッシュができた。

: 国道53号を東へ向かう

: 城跡全域が国の史跡に指定されている『高知城』

: よさこい節に唄われる『はりやま橋』

国道195号で徳島方面へ向かう。昼過ぎに着いた『道の駅・美良布』で休憩。ベンチでソーメンを食べてると広場を挟んである大きな建物が『やなせたかし記念館（アンパンマンミュージアム）』であることがわかった。香美市はやなせたかしさんの故郷らしい。近くへ行ってみると、施設の外に『アンパンマン』や『バイキンマン』など、お馴染みのキャラクターが揃っていた。時間があれば入場したかったが、今回は外だけ、それでも十分楽しかった。

: 暑い日のランチは簡単に食べられるそうめんが便利

香美市を出るとしばらくはコンビニもない山道になるので、簡単に食べられるパンをいくつか買ってバッグに入れておく。国道195号をさらに進み、奥物部に入ると、民家が減り、どんどん山深くなって行く。四ツ足トンネルを抜けると徳島県に入った。

スマホが反応したと思い確認すると、珍しく電話だった。出てみると今日泊まる予定のゲストハウスの人で、いまどこの辺りにいるのか？心配しているようだった。夕方の5時半。いま徳島県に入ったところで、あと1時間ぐらいで着くはずだと答えると、安心した様子だった。

宿の場所は徳島県那賀郡那珂町。山奥なので宿泊施設は数えるほどしかなかった。ネット検索で探しまくり、ようやく見つけたのが、木頭の集落にある1日1組限定ゲストハウス『はなれ』。今日の昼、電話でギリギリセーフで確保した宿だった。

着いた場所は山の集落にある宿で、こんな田舎になぜ？　と思うほどオシャレなゲストハウスだった。しばらくすると電話で話をした、オーナーの中野さんが夕食のお弁当を持ってやってきた。電話と変わらず軽やかでおしゃれな女性だった。話をすると国道沿いでギャラリーカフェも経営しているというから行動力がある。今日は誰とも話をしていなかったので、しばらくおしゃべりに付き合ってもらった。中野さんが帰ると聞こえるのは虫の声だけ、外には明かりもない静かな夜となった。