「ノー・パンツ・サブウェイ・ライド」と聞くと、どんなことを想像しますか? ドキっとするネーミングですが、日本人が想像するノーパンではなく、英語でのパンツ、すなわちズボンをはかずに下着姿で地下鉄に乗るというイベントの名前なんです。「ノー・パンツ・サブウェイ・ライド」の日となった7日、ロサンゼルス(LA)はもちろんニューヨークやシカゴなどの全米各地で一斉にパンツ姿で地下鉄に乗るというちょっと変わったイベントが開催されました。

これ、映画やドラマのワンシーンではありません。ノー・パンツ・サブウェイ・ライドの日の地下鉄内の様子です。(公式フェースブックから)
これ、映画やドラマのワンシーンではありません。ノー・パンツ・サブウェイ・ライドの日の地下鉄内の様子です。(公式フェースブックから)

 毎年極寒の1月に開催されるこのイベントは、2002年にいたずら集団Improv Everywhereがニューヨークで始めたもので、7人の参加者がズボンをはき忘れたことを装い、驚く他の乗客の様子を隠しカメラで撮影するドッキリのような趣向で始められたものだったと言います。その後、参加者が毎年増えていくと共に世界中に広がっていき、現在は米国のみならずイギリスなど世界60以上の都市でも開催されるイベントに発展。LAでは今年10周年を迎えました。

 日本だと一歩間違えると警察沙汰になってしまいそうなイベントですが、こちらでは老若男女誰でも参加することができ、男性のみならず女性も堂々とコートやセーターの下から黒やカラフルなパンティーがのぞく姿で地下鉄に乗ってきます。もちろん風紀紊乱で逮捕されないために決められたルールに従う必要はありますが、基本的には自分を思いっきり解放してみんなで一緒に楽しもうという、何ともアメリカらしい試み。仕組みはいたって簡単で、午後1時から3時半までの2時間半のみ下着姿で地下鉄に乗ることができます。ただし、公開イベントなので参加者は当日の様子が様々な媒体で公開されることに同意している必要があります。後は指定されたLA市内の6つの駅で待機しているライドキャプテンから説明を受け、その場でズボンやスカートを脱いで下着姿となって乗車するだけ。参加するには、LAメトロに乗車するために必要なタップカード(日本のスイカやパスモのようなICカード)が必要ですが、それ以外は脱いだズボンやスカートを入れる袋などを各自用意するだけで、乗車後は自由にノー・パンツ・ライドを楽しむことができます。公式サイトでは、それぞれの駅から乗換を含めて2時間半をたっぷり楽しめるモデルコースも用意されており、ゲーム感覚で楽しむことができます。

駅で地下鉄を待つ参加者たち。みんな堂々としていて、ズボンをはいていない以外は日常となんら変わらない光景が広がっています。(公式フェースブックから)
駅で地下鉄を待つ参加者たち。みんな堂々としていて、ズボンをはいていない以外は日常となんら変わらない光景が広がっています。(公式フェースブックから)

 知らずに偶然居合わせた人はびっくりしてしまいそうですが、駅構内で大勢の乗客が一斉にズボンやスカートを脱ぐ様は圧巻です。スーツの下にカラフルなトランクス姿といったサラリーマン風の人から、Tシャツにブリーフ姿の若者、堂々とパンティーを披露する女性まで多くの人が下着姿で電車に乗り込み、何事もなかったかのよう携帯電話をいじったり、ヘッドフォンから音楽を聴いたりする様は、ある種とっても異様な光景です。参加者によると、日常的なドキドキ感を味わえるだけでなく、バカバカしさを全く知らない他人と共有することである種の連帯感も生まれるのだとか。目のやり場に困ってしまいそうですが、逆に初めて会った人同士が盛り上がって一緒に記念撮影する姿も見られ、日ごろのストレス解消にも一役買っているようです。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。日刊スポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真は共に公式フェースブックから)